1990 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌のAxenic株を利用した細胞極性機構に関する遺伝子の解明
Project/Area Number |
02804060
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
鮫島 正純 東京都臨床医学総合研究所, 超微形態, 研究員 (90142653)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 細胞極性 / 微小管形成中心 / 核 |
Research Abstract |
核と微小管形成中心(MTOC)が一定の配列を示すという細胞極性は、細胞機能の効率的な発現に必須であるが、極性の決定や制御の機構については、その一部が微小管に依存していること以外は不明である。細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの野生株NCー4が集合すると、MTOCが核の後方に存在するという明確な極性[P型]を示すが、axenic変異体(Ax株)では、逆に核の前方に位置する[A型]ことを既に明らかにしてきた。本研究の目的は、Axenic遺伝子(axeBとCだけであることが最近明らかにされた)と細胞極性との関連を明らかにすること、および変異している蛋白質成分の検索であり、今年度は前者についての検討を行った。 1.A型の発現に関与している遺伝子の分析:NCー4とAx株にそれぞれ由来するHU49[P型を発現]とMC293[A型]を親株として得られた、axeBのみを持つMC341と345株はP型を示していた。一方、axeCのみを含むHU358株を分析したところA型であったため、A型の発現にはaxeCが関与していることが判明した。 2.axeBとCには相互関係がある:axeBがsuppressされる条件でAx株を培養した後で集合させると、A型ではなくP型を示すようになった(axeCがsuppressされた)。ところが、同じ条件下でHU358株を増殖させても集合期にはA型を発現していた(axeCは抑えられなかった)。さらに、axeBとCに加えてaxeBのsuppressorであるbsgを持つHU1206と1384株は、P型であった。したがってaxeCの抑制は直接ではなく、axeBを介してなされると考えられる。 今後axeCによる変異を分子レベルで検討するために、微小管関連蛋白質の分析を予定している。
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Research Products
(1 results)