1991 Fiscal Year Annual Research Report
近世城下町の都市設計に関する研究ー上水網と職人町の配置計画を中心にー
Project/Area Number |
02805075
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
波多野 純 日本工業大学, 工学部, 教授 (40049721)
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Keywords | 城下町 / 上水 / 開渠 / 暗渠 / 町人地 / 職人町 / 鍛冶屋 / 紺屋 |
Research Abstract |
本研究は、近世城下町の都市設計の方法、なかでも職人町の配置計画を、重要な都市施設である上水の配置計画を通して明らかにすることを、目的としている。 城下町の都市設計の基本は、封建的身分秩序による住区の設定にある。職人は、近世初頭には、技術に応じた役を負担し、同一地域に居住した。鍛冶屋・鉄砲屋など軍需関係職人は、家臣団とともに城郭近くに居住する例が多い。その後、生産の主体が武器から農具・土木用具に代わると、町人地のなかでの裏町、あるいは町の外縁部に移動した。 職人町のなかで上水と関係の深いのは、清冽な水を必要とし火災の危険が高い鍛冶屋・鉄砲屋などの町と、大量の水を必要とし排水が汚れる紺屋などの町である。これらの職人町と上水の配置計画の関係をみると、(1)上水を別系統とし、また(2)流路の末端に位置させる、などの原則が見いだされ、以下の点が指摘できる。 1.鍛冶屋については、仙台・山形・米沢・佐賀において別系統と流末の原則がみられ、福井・福山において別系統の、棚倉・新発田において流末の原則がみられる。 2.鍛冶屋の生産品が武器から農具などに代わったために町が移転した例として、新発田・山形・甲府がある。 3.紺屋については、仙台・米沢・水戸において別系統と流末の原則がみられ、福井・佐賀において流末の原則がみられる。 4.紺屋町の配置に上水網の配慮を欠いたために営業が衰微した町として、仙台(上染師町)・甲府(新紺屋町)などがある。
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[Publications] 波多野 純: "暗渠の上水の配置計画と城下町の住区設定ー都市施設としての上水を通してみた城下町設計方法の研究4ー" 日本建築学会計画系論文報告集. 第416号. 101-110 (1990)
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[Publications] 波多野 純: "開渠の上水と城下町の都下景観" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 805-806 (1990)
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[Publications] 波多野 純: "城下町における職人町の位置と上水の配置計画" 日本建築学会大会学術講演梗概要. 1021-1022 (1991)
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[Publications] 波多野 純: "比較都市研究会創立20周年記念論文集『都市と共同体 下』開渠の上水を通してみた近世城下町の都市設計" 名著出版, 197-227 (1991)