1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02807160
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Research Institution | NIPPON MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
馬場 俊吉 日本医科大学, 医学部, 助教授 (60089761)
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Keywords | 聴性脳幹反応 / 脳波 / 意識障害 / 脳死 |
Research Abstract |
意識障害者357例に対し聴性脳幹反応(ABR)を記録した,この内112例に対し脳波(EEG)の観察を行った。ABRは意識障害に陥ってから24時間以内に記録を開始した。EEGは深昏睡患者に記録を行い,EEG記録前後にABRの観察を行った。 EEGになんらかの活動が認められたものは38例,EEGが平坦化していたものは74例であった。EEGになんらかの活動を認めた症例のABRにはI波からV波までの波形が全例に認められた。また,I-V波間潜時も38例中35例が正常範囲内であり,3例に4.4msec以上のI-V波間潜時延長を認めた。EEGが平坦化していた症例は,臨床的に脳死の状態であった。EEGが平坦化した症例の初期ABRはI波のみあるいは無反応は40例であった。また,V波の消失は3例で,31例にはI波からV波までの波形が認められた。I-V波間潜時も28例が正常範囲内(4.4msec以内)であった。しかし,EEGが平坦化した症例ではV波までの波形が認められていても経過とともにV波から波が消失しついには1波のみあるいは無反応となった。予後に関してみるとEEGが平坦化していた症例は全例死亡した。このことは,大脳を中心とした上位中枢から脳の活動が停止し徐々に下部へと変化が進み最終的に脳幹部の活動が消失するものと考えられた。以上の結果から,脳死を判定する際に聴性脳幹反応による脳幹機能の把握が重要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)