1990 Fiscal Year Annual Research Report
言語習得過程についての人間関係学的研究(言語・発達臨床論)
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02808017
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Research Institution | Shiraumegakuen College |
Principal Investigator |
佐々 加代子 白梅学園短期大学, 保育科, 教授 (20113285)
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Keywords | 言語習得過程 / コミュニケ-ションの基本原型の学習 / 抱くとしずまる / ここちよい / T交信 / 早期は5日め / 発達助成論 / 保育者の質 |
Research Abstract |
佐々の臨床論の妥当性と有効性の検討として,1972年以降の子ども330名,継続臨床22名,重症心身障害施設入所児(3週間の治療的保育実践)1名及び新生児期からの発達臨床対象7名(障害児含)の資料を用いた。新規購入構答により良質の資料が得られた。また旧来の資料と合わせて購入機器による分折で新たな知見を得た。 今年度は、さまざまな子どもたちにおける,言語習得過程第一期コミュニケ-ション関係成立までの様相を明らかにすることであったが,この時期はさらに1)コミュニケ-ションの基本原型の学習と交信の活発化の時期;佐々の母子(人間)関係成立段階第一期模索期から第III期共有体験期,2)コミュニケ-ション関係弁別期;第IV期弁別不安期,3)安定期;V期に分かれる。1)の段階を経ることは触覚的信号行動(Tactile behavior)における交信で,「抱くとしずまる」がそ典型となる。従って保育者による接触が子ども自身に「ここちよく感じられること」が重要となる。両者の接点(0m)を求めていくことがかかわり手にゆだねられる。早期の場合生後5日めでも起こり,そこから交信の活発な展開で発達が促進される。遅い場合の時期の年齢制限はない。コミュニケ-ションの基盤がないだけにことばの問題が顕者に残る。遅滞の典型で,その発達促進は移動能力の高い子ども程困難である。佐々の接近過程の類型による評価と接近誘導法は有効であるが技法としての汎化には発達助成論としてコミュニケ-ション過程論の一段階ごとを信号行動系の読みとり以降を細やかに示すことにある。一方、しずまりにくい子どもには抱きしめ法を,弱いサインの子どもには、保育者側が子どもとの物理的距離をOm近くにした上で細やかな交信過程をすることにある。保育者の質は信号行動系の発信・受信の過程論で論じることが可能である。その人間関係の内容が発達促進要因であり,一方阻害要因となることがわかった。
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Research Products
(2 results)