2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀池 信夫 筑波大学, 哲学・思想学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIN Hyeon 筑波大学, 哲学・思想学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 漢代易学 / 漢易 / 易 / 鄭玄 / 象数易 / 後漢易学 |
Research Abstract |
後漢易学の行方-鄭玄易学を中心に 2002年度の一年間においては、前漢以後、後漢における易学の展開相がいかなるものであったのかについて、とりわけ、鄭玄の易学を中心に検討を進めた。 従来、鄭玄の易学には、互体説と呼ばれる象数易学的側面と、後の義理易学に連なる費氏易学的側面が見られるが、こういったあたかも相矛盾するかのような両側面は、鄭玄の易学においてどのように成立されているのかに重点をおいて考察を進めた。考察の結果、以下のような結論が得られた。 鄭玄の易注における象数易学の互体法とは、経文解釈のための糸口を、機械的な方法(象数易(互体))によって得るものである。すなわち、費氏の「拠伝解釈法」が象数易の「互体法」によって導かれているということであり、鄭玄の受け継いだ費氏易の「拠伝解経法」とは、単に彖伝や象伝の文言による解釈だけではなく、さらに彖・象伝の文言の意を、卦画の象数から汲み取ろうとするものであったのである。 鄭玄が経文の解釈において互体を多く用いているのは、そういった彖・象の易伝の性格を反映したものであるが、さらに前漢易学に遡ってこの立場の意味を広げてみた場合、卦画の数理的解明を中心とした象数易学を卦爻辞の解釈において実現しようとする、いわば前後漢易学の統一的完成を図るものであったと考えることもできるだろう。強調的にいえば、もっぱら卦画の象数的原理を追求し、経・伝の言辞を重要視しなかった前漢易学と、易伝の言辞重視による後漢以降の解釈志向との統一、すなわち卦画における象数的理論を卦爻辞の言説に結合させるという、課題の解決こそ、真の意味で「易経」を経典たらしめるものとして、鄭玄は企図したものだったと考えることができるのである。 以上が2002年一年間進めてきた研究結果であるが、今後の課題として、このような鄭玄の易学の特徴が後の学者の間においてどのように継承されていくのかについて検討してみることにする。 ※本研究の成果にもとづき、2002年12月21日に開かれた後漢経学研究会報告会で口頭発表を行った(2002年12月21日、於早稲田大学)。
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Research Products
(2 results)