2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中砂 明徳 京都大学, 文学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PALUMBO Antonio 京都大学, 文学研究科, 特別研究員
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Keywords | 唐代仏教 / 敦煌 / 老子化胡経 / マニ / 漢明帝夢 / 仏教伝来 / 三天内解経 / 道教 |
Research Abstract |
本研究員の主たる研究テーマは、敦煌で発見された「老子化胡経」の分析である。この写本を分析することによって、唐朝の宗教政策、中央アジアにおける宗教の状況の一端が明らかになるだけでなく、列挙される中央アジアの都市名から、貴重な地誌情報を抽出することが可能であり、日本を含め世界各国の一線の研究者がこの写本の分析に取り組んできた。研究員はそれらの成果を総括した上で、テクストをさらに詳密に点検し、写本成立の年代を絞込み、十分に説得的な新説を提示している。 来日以後、さらに内容を増補した上で、現在その英語版を準備中である。わが国では、イタリア東洋学の高水準が言葉の壁のために広く紹介されてこなかったが、本英訳版はその点で大きな反響を呼ぶと確信する。さらに、この作業の間にいくつかの副産物も生まれている。そのうち、「化胡経」に出てくる有名な「漢の明帝の夢」伝承を分析した論文が近刊予定である。 また、研究員の関心は仏教にとどまらず、道教にも及ぶ。従来、南朝の道教史の展開に大きな影響を及ぼしたとされてきた「三天内解経」に出てくる「中国」の語に着目し、通説に疑問を投げかける論文(英語)を準備し、ほぼ完成を見ている。この論文も、初期道教史の見方に大きな修正を迫る内容を持っている。 はじめての来日ということもあり、環境に慣れるのに時間を要し、予定していたより公刊論文は少ないが、現在準備中のものが次年には続々と刊行されるはずである。
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Research Products
(1 results)