2002 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本の役割と負債残高の影響に焦点をあてた発展途上国における国及び地域経済システムの分析
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02F00017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 公明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN Muhammad Tariq Yousuf 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 公的資本 / 民間資本 / 地域間格差 / 資本配分 / パキスタン経済 / 人口移動 / 国全体の効率性 / 地域計量モデル |
Research Abstract |
発展途上国経済における公的資本の役割を分析するために、パキスタンを対象とした地域計量経済モデルを構築した。まず、セクターレベルでの地域生産関数を推定し、公的資本と私的生産要素の生産効率性が分析された。地域人口、地域労働雇用関数も推定され、国全体としての効率性と地域間格差について分析がなされた。主要な結果は以下の通りである。 1.パキスタンの4地域間の一人当り生産額で測定した格差は恒常的に存在し、労働生産性や雇用率の格差は1982年以降拡大している。 2.推定によれば民間資本の90%近くは先進地域に配分されており、そのような先進地域では公的資本は効率的に使用されているが、民間資本が少ない後進地域では公的資本の役割が小さい。すなわち、公的資本と民間資本の補完性が強くある。 3.民間資本の配分はその地域の技術水準にも有意な影響を与え、それが地域間格差を更に拡大している。 4.地域間人口移動の多くは、雇用機会の地域間差異によって引き起こされる。 5.シミュレーション分析によれば公的、民間資本の地域間配分が、国レベルでの効率性と地域間格差に大きな影響を与える。一国の効率性と地域間格差の間には逆U字型の関係が得られる。
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