2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本の役割と負債残高の影響に焦点をあてた発展途上国における国及び地域経済システムの分析
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02F00017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 公明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TATIQ Yousuf Khan Muhammad 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 外部負債 / 国内負債 / 社会資本 / 発展途上国 / 為替レート / 貿易収支 / 財政収支 / 人的資本 |
Research Abstract |
目的は発展途上国における国内・国外負債残高がその国の発展にどのような影響を及ぼすかを定量的に分析し、経済発展のための有効な政策を提言することである。そのためのマクロ計量経済モデルの中核部分は、新たな負債(借入)額の決定と、負債残高が為替市場に影響を与え、それが国際貿易に影響を与える相互依存関係を定式化することである。特に国外への負債(external debt)は、貿易収支の赤字分が自動的に借入に結びつく面と、国の経済発展を目的とする大型プロジェクトのために戦略的に借入を行う面がある。しかし一方、負債残高を無制限に増加することも、貸手側の信用評価を低下させるのでできない。1970〜2002年のパキスタンのデータを用いて、新規外部負債・GDP比率を非説明変数としたモデルでは、パキスタン通貨(ルビー)建て為替レートの変化率は有意に正であり、借り入れを行うとすれば将来よりも現在すべきであるということを示唆している。また為替レート水準そのものの係数は有意に負であり、負債の返済条件の悪化が借入れを抑制している、負債残高・GDP比率は有意に負で貸手側の信用評価が働いていることを示唆している。また、財政赤字・GDP比率は有意に正で、戦略的開発プロジェクトのための大型公共投資は外部負債に依存することを示している。貿易赤字・GDP比率は有意に負で、貸手から見た返済条件の悪化を意味する。このモデルの適合度は0.62でそれほど高くないが、第一段階の検定としては、経済的仮説を支持している。一方、為替レートを説明するモデルの推定では、外部負債残高は有意に正であり仮説を裏付けている。新規借入額も有意ではなかったが正の係数をもつ。貿易収支は期待通り有意に負の符号をもつ。今後、それらを含むマクロモデルを構築する。
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[Publications] Khan M.Tariq Yousuf, Komei Sasaki: "Regional Disparity in Pakistan's Economy Regional Econometric Analysis of Causes and Remedies"Interdisciplinaiy Information Sciences. Vol.9, No.2. 293-308 (2003)