2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国におけるエネルギー政策のマクロ計量モデルによるシミュレーション分析
Project/Area Number |
02F00018
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
根本 二郎 名古屋大学, 経済学研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU Ge 名古屋大学, 経済学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | マクロ計量モデル / エネルギー需要 / 炭素税 / 生産要素需要モデル / 代替弾力性 |
Research Abstract |
平成14年度における研究を通じて得られた成果は、以下の二点である。第一に、中国のセクター別(農業,製造業,運輸,サービス)にエネルギーを含む要素需要モデルを推定し、各種エネルギー(石油,石炭,電力)の間およびエネルギーと他要素(資本,労働)との間の代替弾力性の値を得た。その結果、エネルギー種間の関係については、すべてのセクターにおいて電力は石油と石炭に対して代替的であること、また1990年代以前の運輸部門を除いて石油と石炭は補完的であることが、明らかになった。このことは、電化を促進しつつ、安価な石炭の利用を維持するエネルギー戦略を反映するものと解釈できる。エネルギーと他要素との関係については、エネルギーは概ね資本に対して補完的、労働に対しては代替的である。これらの推定結果を基に、炭素消費に対して課税した場合に要素需要がどのように変化するかシュミレーション分析を行った。その結果、税率としてオランダで採用されているトン当たり2.24米ドルを採用すると、二酸化炭素排出量は2.2%減少し、生産費用は1.5%増加という結果を得た。またエネルギー投入の減少は1.7%,資本に対する需要は0.3%減少し、労働に対する需要は1.2%増加する。第二に、上記の要素需要モデルと接合する中国経済のマクロ計量モデルを推定し、内挿テストの他、エネルギー価格が上昇した場合のシミュレーション分析を行った。推定したモデルは、要素需要モデルとのインターフェースとなる4セクターのエネルギー需要ブロックを含む、標準的な需要決定型マクロ計量モデルである。シミュレーション分析では、トン当たり2.24米ドル(上記ケースと同じ)炭素税に相当するエネルギー価格上昇により、国内総生産が1.1%ないし1.5%減少するという結果が得られている。
|