2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 實 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Shuang 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 改修型グループホーム / 大規模高齢者福祉施設 / 住宅力 / 地域性 / 生活単位の小規模化 / 暮らしの場 / 生活行為 |
Research Abstract |
平成14年度は既存資源の利用の視点から、「改修型」の施設に着目して「改修型のグループホーム」と「改修型の大規模高齢者施設」を中心に調査を実施した。現段階において得られた研究結果を下記にまとめる。 1.既存建物をグループホームとして利用している3ホームにおいて調査を実施し、それぞれの空間的特徴とスタッフ・入居者の生活構成の関わりを明らかにした。 ○民家利用型のホームでは家がもつ物理的環境要素と家の地域性に着目して、「家」の中で展開された「ホーム」の生活の考察を通して、「住宅力」の本質を考えた。 ○遊児園利用型のグループホームでの調査を通して、既存建物をグループホームとして利用する場合、もっとも配慮すべき点はスタッフの動線・滞在拠点と入居者の動線・滞在拠点の関係性であることが分かった。両者の位置関係においては、スタッフの滞在拠点がつねにさり気なく入居者の様子を見守ることができる位置にあることが望ましい。 ○温泉旅館利用型のグループホームへの調査を通して、既存建物がもつ機能によっては、「生活の場」としてのグループホームを作り上げていくことには限界があることが分かった。 既存建物をグループホームとして利用する場合、空間や介護の工夫によっては、入居者の生活を支える環境構築の可能性が示された一方、既存建物がもつ機能によっては「家」として感じさせ、「暮らしの場」として生活を営むには限界があると思われる。 一方、民家利用型のグループホームの建物は「家」そのものであり、自然にそこで生活が流れていくことも明らかになった。地域にある住宅をどのようにグループホームとして生かすかは、普及期のグループ・ホームが臨む課題である。 2.大規模高齢者施設についての調査は、ユニットケアが導入された特別養護老人ホームと介護単位の小規模化を導入した従来型の老人保健施設で実施された。小規模介護・生活単位が導入されたもとでの入居者の生活展開が明らかにされ、改修型の大規模施設の空間的あり方についてもいくつかの知見を得ることがでさた。
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