2002 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域における高齢者福祉施設の整備システムに関する研究
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02F00024
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
佐藤 誠治 大分大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 東熙 大分大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 高齢者 / 福祉施設 / 整備システム / 過疎地域 / 生活支援ハウス |
Research Abstract |
1.研究の背景と目的 過疎地域(農村・山村・魚村・離島など)では、都市地域と比べ相対的に高齢化率が高く、高齢者は、介護者の不在・住宅状況の悪化・身体機能の低下の中で厳しい居住問題に直面している場合が多い。本研究は、この様な問題に対し、より充実的に対応できる「福祉施設整備システム」を開発するため、その有効な知見を見出すことを目的としている。 2.これまでの研究経過と成果 平成14年4月から、関連資料(書籍・論文・報告書など)の収集及び研究計画の検討を行い、同年6月からは、研究対象地域である大分県の過疎地域状況と福祉施設の整備状況に関する全般的な調査を実施した。 県内における過疎地域は、全58市町村の中44町村(75.9%)であり、全国で最もその比率が高い。居住施設としては生活支援ハウス(旧名、高齢者生活福祉センター)が20ヶ所で最も多く、そのほか、特別養護老人ホーム2ヶ所・介護老人保健施設1ヶ所・痴呆性高齢者グループホーム1ヶ所が整備されている。 今回は、まず、過疎地域高齢者福祉サービス提供の拠点とも言える「生活支援ハウス」を研究対象施設として取り上げ、同年11月から12月にかけて、施設概要(立地・建築・設備・管理・運営など)、現在の入居者状況、開設からの退居者状況、そして既存調査(6年前)対象入居者に対する追跡調査を行った。 「生活支援ハウス」20ヶ所における入居定員は219世帯分で、現在の入居者は188世帯(入居率85.8%)であり、その詳しい属性と居住状況等については平成15年3月「日本建築学会九州支部研究報告会」において発表を終えている。 現在は、開設後における全ての退居者に対し、その施設利用状況・退居状況(時期・退居理由・退居先)などに関する分析と考察を行い、平成15年9月に発行される「日本建築学会学術梗概集(全国大会)」に投稿中の状況である。 また、その他に、平成14年12月には、過疎地域における高齢者の居住状況が大分県と類似している「韓国南部の順天市(スンチョンシ)」を訪問し、地元の大学との連携で、同市に隣接する農村地域の高齢者居住状況に関する基礎調査を行った。 3.これからの研究計画 今後は、これまで得られた研究結果に、既存調査(6年前)に基づく「入居・退居者の追跡調査」に関する集計と分析結果を加え、各地域ごとの高齢者居住状況や他の福祉施設整備状況との関連性を考察しながら、過疎地域に相応しい高齢者福祉施設の整備体系(システム)方向を見出していく予定である。 また、最終的に得られた結果については、日本建築学会計画系論文集に投稿すると同時に、一方、韓国の事例を含めたものに対しては、大韓建築学会計画系論文集に投稿する計画である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 李東熙, 佐藤誠治, 金貴煥, 劉作: "過疎地域における高齢者福祉施設の整備システムに関する研究 その1-生活支援ハウスの整備状況と入居者特性について"日本建築学会九州支部研究報告集. 第42号. 201-204 (2003)