2002 Fiscal Year Annual Research Report
WTO加盟後の中国東北地域における農業構造調整の展開方向-日本における地域農業再編方向との比較研究-
Project/Area Number |
02F00026
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
倉本 器征 東京農工大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 暁明 東京農工大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ジャポニカ米戦略 / 緑色米 / 食糧の安全保障 / 食糧過剰 / 国際競争力 / 良食味米の生産環境 / ブランド米 / 龍頭企業 |
Research Abstract |
本研究では、中国東北に位置する黒竜江省における実態調査の分析をもとに、WTO加盟にともない農業構造調整政策の一環として展開されている"ジャポニカ米戦略"に注目し、特に、「緑色米」産地の形成条件、及び「緑色米」の生産・加工・販売のメカニズムなどを明らかにした。 1、WTO加盟後の農業市場開放によって、中国の穀倉地帯である東北地区は大きな影響を受けると思われる。黒竜江省政府は、国際競争力を有する米を突破口にして、ジャポニカ米、特に「緑色米」の生産の拡大を内容とする農業構造の調整を行っている。 2、黒竜江省は気候・土地・水条件に恵まれており、良食味米の生産環境になっている。また、同省では工業の開発・建設の歴史が浅いため、空気・水源・土壌の汚染が比較的進んでおらず、「緑色米」の生産と開発には適した地域であった。さらに生態農業モデル地区指定を受け、政策的な支援対策も整っていた。 3、同省は「緑色米」を発展させるために、生産基地を設立し、栽培技術指針を制定し、生産資材の統一的一元管理を前提にして、生産から販売まで垂直的統合を実施する龍頭企業(中核企業)を育成した。企業は先進的な米加工設備を導入し、農家と契約し、「ブランド米」を育て、安全、優質の米を市場に提供している。そのような企画力・販売力が産地形成の牽引力となっている。 4、黒竜江省におけるジャポニカ米と「緑色米」は、その生産コスト、品質、生産規模のいずれからみても、強い国際競争力を持っており、毎年600万トン以上の米が国内外で販売されている。将来的には日本の米関税率の低下に伴い、黒竜江省産の「緑色米」が大量に日本へ輸出される可能性は十分あると予測される。
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Research Products
(1 results)