2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国における省別農業・環境の構造的解析とモデルに関する研究
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02F00027
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中安 章 愛媛大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 永福 愛媛大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国 / 農業 / 食料 / 環境 / 需給モデル |
Research Abstract |
本研究は、中国における省別農業・環境の構造的解析と省別食料需給モデルの開発を行った。 まず、中国の省別農業・環境に関するデータを収集、整理した上で、これらのデータを基に、中国の食料需給の現状と構造的要因を分析した。その結果、環境要因としては、自然災害特に干ばつによる中国の食料生産への影響が大きいことを明らかにした。また、小麦、米の需要弾性値が低いものの、中国の大豆の用途別弾性値が非常に高いことが明らかにした。さらに、中国においてはトウモロコシの飼料用の弾性値も高いことが明らかにした。その要因として、中国の人口が引き続き増加することと、畜産品・水産物の需要弾性値が非常に高いことを示した。この成果は農業市場学会誌と同学会個別報告及びフードシステム学会個別報告で公表した。 次いで、上述の解析を基に、「部分均衡理論」を用いて、中国の省別品目別食料需給モデルの開発を行った。その結果、2015年には中国の小麦、米、トウモロコシ及び大豆の四品目の純輸入量は約4000万トンに達することを明らかにした。特に、大豆と小麦の純輸入量が大きく増加する。この成果の一部は中国の学会誌で発表した。また、省別の需給構造によると、品目によって異なるものの、小麦、米、トウモロコシ及び大豆の4品目の合計では、中国の東北地域は中国の食料の主な移出地域になるのに対し、中国の沿海地帯は主な移入地域になる見通しである。 そして、実態調査結果から以下のことを明らかにした。東北地域では、干ばつなどの水不足によって食料生産への影響が大きくなりつつある一方、地下水の過剰利用及び耕地の開墾等によって湿地の縮小がもたらしており、食料の増産と生態系の維持というトレードオフ現象が現実化しつつある。華北地域の河北省、山東省においても、地下水の一層の低下がみられる。また、山東省、江蘇省などでの急激な工業化による耕地面積の減少が食料供給に与える影響が大きく、中国の食料問題はより一層深刻化する恐れがある。これらの環境要因、工業化の要素は今後の中国の食料供給を左右することが確信された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 陳 永福, 中安 章: "中国における大豆の用途別需給の変動傾向と要因分析"農業市場研究. 第12巻 第2号. 82-91 (2003)
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[Publications] Yongfu Chen, Akira Nakayasu: "A Policy Simulation and Projection of China's Soybean Supply, Demand"China Agricultural Economic Review 中国農業経済評論(中国語). 第1巻 1号. 45-53 (2003)
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[Publications] Yongfu Chen, Akira Nakayasu: "China's wheat market balance and Market integration with Canadian, American and Australian wheat export markets"China Agricultural Economic Review 中国農業経済評論(中国語). 第1巻 3号. 343-355 (2003)
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[Publications] Chen Yongfu, Akira Nakayasu: "An Analysis of the Problems in Sino-Japan Trade of Agricultural Products and Some Countermeasures for Marketing"Chinese Rural Economy(Monthly) 中国農村経済(中国語). 第223号. 40-48 (2003)