2002 Fiscal Year Annual Research Report
さまざまなパニック状況における人間集団の行動のシミュレーション
Project/Area Number |
02F00030
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
神原 武志 電気通信大学, 電気通信学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHNG Meihong 電気通信大学, 電気通信学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 災害 / 人間集団行動 / 心理学実験 / シミュレーション |
Research Abstract |
災害が発生した場合、人間の心理的要因が行動に与える影響は普通のときより大きいと思われる。災害時の人間の心理的要因を調べるために、実際に災害を起こして実験を行うには危険性が高い、また単なる訓練での実験では臨場感がないという致命的欠点がある。昨年長時間の調査を行った上,新たな心理学実験の方法を考案した。それは、Phantom触覚シミュレーターを使ったコンピューターシミュレーションを用いて、心理学実験を行う方法である。具体的に言えば、災害の発生した仮想空間に、力学モデルで行動する人間とPhantom触覚シミュレーターを介して行動する被験者が置かれる。被験者はPhantom触覚シミュレーターを使って行動できる他、他の人間や境界との衝突により行動のフィードバックももらえる。危険が迫ってくる際に、人間がどのような心理でどのような行動をするのかを被験者の行動から調べることができる。 このような心理学実験はコンピューター上で行うため、危険性がないのはひとつの利点となり、また、Phantom触覚シミュレーターを使うため、境界や他の人間との衝突により生じるフィードバックが被験者に触覚のかたちで与えられ、さらに、三次元の仮想空間上に災害を表現し、災害の恐ろしさを視覚からも被験者に与えられることにより、臨場感を向上させることができるのもひとつの利点である。去年11月にシンガポールにて開催された国際会議で、この提案を発表し、Phantom触覚シミュレーターを使ってコンピューター上で災害についての新しい心理学実験を行う方法として、好評を受けた。発表した内容は同会議proceedingに載せられている。災害における人間集団行動を解明するという最終目的を実現するには、人間の心理的要因が与える行動への影響を調べることは不可欠である。今後は、この方法を用いて得られた災害時における各種の人間の心理的要因の効果をモデル化して、大規模コンピューターシミュレーションを行うことにより、災害時の人間集団行動を解明することを目指して研究を進めていく予定である。
|