2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 靖 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Jounghun 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | cosmology / dark matter / halo / galaxies / clusters of galaxies / X-ray |
Research Abstract |
近年のコンピュータシミュレーションによると、ダークマターハローの角運動量は、対数正規分布に従うことが知られており、その平均値と分散の値は、ハロー周辺の環境にはほとんど依存しない。この数値実験結果は、銀河の書く運動量の起源と進化を議論するうえで極めて重要な手がかりであるにもかかわらず、理論的にはほとんど理解されていなかった。今回は、角運動量の起源のモデルとして標準的なタイダルトルク説に立脚し、この対数正規分布が、初期のシアの効果として自然に理解できることを示した。 銀河団の質量関数は宇宙論パラメータを制限する有力な方法論の一つである。この目的のために、間接的ではあるが実用的な方法として広く用いられているのは、銀河団のX線光度を観測し、ある理論モデルの下にそれを質量関数に変換するものである。近年、もう一つの観測手法として注目されているのが、銀河団内の高温電子と宇宙マイクロ波背景輻射の光子とのコンプトン散乱を通じて銀河団が電波領域で観測されるスニャーエフ・ゼルドビッチ効果である。この効果を観測する上では、さまざまな雑音源が存在するが、今回、それらを効果的に取り除くフイルターを提案し、スニャーエフ・ゼルドビッチ効果を銀河団の光度関数決定に用いる精度を向上させた。 また、銀河団の光度から質量を推定する上では、従来、単純な理論的モデルが使われてきた。特に、ほとんどの場合球対称の仮定が用いられている。我々は、この球対称の仮定をはずし、ダークハローの形状としてより一般的な3軸楕円体モデルを用いた場合、静水圧平衡にあるガスの密度および温度分布を解析的に導くことに成功した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Chiueh: "An Analytical Approach to the Spin Distribution of Dark Halos"The Astrophysical Journal. 581. 794-798 (2002)
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[Publications] J.Lee: "A Statistical Strategy for the Sunyaev-Zeldovich Effect's Cluster Data"The Astrophysical Journal. 578. L27-L30 (2002)
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[Publications] J.Lee: "Modeling Intra-Cluster Gas in Triaxial Dark Halos : An Analytic Approach"The Astrophysical Journal. 584(印刷中). (2003)