2003 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的多体問題による不安定核のエキゾチックな構造
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02F00039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SERRA Milena 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 相対論 / 中間子 / 核子 / G行列 / テンサー力 / π中間子 / σ中間子 / 殻進化 |
Research Abstract |
本研究計画においては、現実的な核子間相互作用がら、核子間有効相互作用を(非相対論的)G行列理論により導き、最終的には核物質の密度の関数としての核子間ポテンシャルを各チャンネルに対して求める。核子間相互作用の段階から、核力ポテンシャルを核子間相対距離の関数としてガウス関数で表す近似を採用する。そこで、核物質の密度の様々な値に対して、有効相互作用ポテンシャルが相対距離の関数として与えられる。それを、相対論的なラグランジアンから出発し非相対論に変換した中間子交換ポテンシャルでできるだけ再現するようにして、中間子の有効質量と有効結合定数を決める。中間子として使われたのは、σ、ρ、ω、の通常用いられるものの他に、アイソベクトルでスカラーのδ中間子も導入する。また、π中間子は、自由な空間での質量と結合定数で含める。このようにすれば、大体1fmより外側での核子間有効相互作用は再現が可能である。それには、1、σσ、ττ、σσττ、の4チャンネルの中心力に加えて、LS力とテンサー力も含まれる。実際、テンサーの大きさはかなり強いが、π、ρ、ωの中間子の効果の重ね合わせでよく再現される。その結果、殻進化のような現象も出せるようになる。 このように求めた中間子の有効質量や結合定数は、一般的な規則にだいたい従っている。ρとωの質量は概ね等しく、QCDとよく合っている。また、全体的に密度依存性は滑らかであり、現象論的な値とも矛盾していない。 このようにして求められた1個の中間子の交換であらわすモデルは、有効的には多数の中間子の交換効果や、密度に依存するブロッキング効果も含んでおり、それを展開しての核構造研究を今後展開する。
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[Publications] M.Serra, T.Otsuka, Y.Akaishi, P.Ring, S.Hirose: "Density and isospin dependencies in relativistic mean field models"Proc. of Int.Symp. "A New Era of Nuclear Structure Physics", Niigata, Japan, Nov. 19-22, 2003. (印刷中). (2004)
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[Publications] M.Serra, T.Otsuka, Y.Akaishi, P.Ring, S.Hirose: "Field theoretical description of exchange terms in nuclear systems"Nuclear Physics A. 722. 502 (2003)