2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00040
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 光 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAL Subrata 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 弦理論 / 構成的定式化 / 行列模型 / 超対称性 / ゲージ理論 / 曲がった時空 |
Research Abstract |
弦理論は、84年からの1次ブーム、94年からの2次ブームを経て現在最終段階とも言うべき3次ブームに入ろうとしている。これは、ちょうどゲージ場の理論が1970年代に摂動諭を理解する1次ブーム、摂動論の延長上で非摂動効果を理解する2次ブーム、そして格子ゲージ理論を使って、完全に非摂動効果を理解する3次ブームという具合に発展していったのと、よく似ている。すなわち、弦理論の84年からの1次ブームは、弦の摂動論を理解した時代であり、94年からの2次ブームは、D-Braneをはじめとした摂動論の延長上で、非摂動効果を理解する段階であった。その発展を経たのち、現在は、弦理論を完全に非摂動的に定式化する段階であるといえる。 このような試みが完成した暁には、なぜ我々の時空が4次元であるかをはじめとしてゲージ群の構造、クオーク・レプトンの世代数をはじめとし、重力と標準模型を含む全ての現象が、全くフリーパラメーターをもたない理論から説明できることとなり、まさしく、theory of everythingが完成すると言える。このような見地から我々は、弦理論の構成的定式化として、考えうる種々のモデルについて吟味し、これらのモデルのもつ困難、特に、曲がった空間をどのようにして扱えばいいかという問題を考察した。また、超対称性のあるゲージ理論と、行列模型がある意味で双対的であるという最近の結果を、行列模型の一般論から見直し、弦理論の定式化につながる新しい知見を得た。共同研究がはじまってから半年足らずであるため、まだ発表した論文はないが、近々結果をまとめて公表するつもりである。
|