2003 Fiscal Year Annual Research Report
中性子超過剰領域における中性子ハロー・スキン構造の研究
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02F00045
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 隆司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ATTUKALATHIL M. V. 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 不安定核ビーム / 中性子ハロー核 / 殻模型の変化 / クーロン分解 |
Research Abstract |
本研究では、中性子束縛限界に位置する二中性子ハロー核^<11>Li,^<14>Be,^<17>Bを対象に、高強度の不安定核ビームを利用したクーロン分解反応、核力分解反応の実験を行っている。これらの実験は、中性子ハロー核に特有の励起構造、特に低励起状態の構造や、殻構造の変化についての知見を得ることを目的として行われた。本研究で得られた成果は以下の通りである。 1.コア核+n状態の物理。 分解反応の中間状態で得られる準安定な非束縛状態^<10>Li,<13>Be,^<16>Bについて、その準位エネルギーや核運動量の情報を得た。^<10>Liについては以前から観測されていたP状態の共鳴ピークを確認した。さらにs波の連続状態を観測し、有効距離の導出を行った。^<13>Beについては共鳴ピークは観測されず、s波連続状態として解析した。^<16>Bについては^<15>Bd状態の共鳴ピークを観測した。これらを総合すると、ハロー核ではs波状態の成分が大きいこと、さらに^<10>Liについてはp波成分を、16Bについてはd波成分の混合が見られることがわかった。また、コアと中性子の相互作用について有効距離理論に基づいた解析を行い、10Liよりも14Beの方がコアと中性子間の相互作用が小さいことがわかった。これがどのような理論的な意味をもつのかという点についてさらに解析を進めている。 2.低励起E1強度分布の観測 ^<11>Liのクーロン分解反応によって、^<11>Liの低励起エネルギーへのE1強度分布を求めた。その結果、この分布は以前知られていた分布より狭く、1MeV付近の励起エネルギーに集中していることがわかった。さらに、和側との比較からハロー中性子の相関を求めるなど、理論的解析を進めている。 3.低励起束縛状態の観測 本研究では不安定核の核力分解反応や非弾性散乱におけるガンマ線測定も行っている。その結果中性子過剰核^<15>B,^<17>Bの第一励起状態を初めて観測した。この結果は中性子過剰領域でのホウ素核の変形度の同定や、殻模型計算での基本的な有効相互作用を決める上で重要な手がかりとなると期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Shimoura, T.Nakamura et al.: "Isomeric 0+ state in 12Be"Physics Letters B. 560. 31 (2003)
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[Publications] Y.Yanagisawa, T.Nakamura et al.: "The first excited state of 30Ne studied by proton inelastic scattering in reverse kinematics"Physics Letters B. 566. 84 (2003)
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[Publications] T.Nakamura et al.: "Coulomb Dissociation of Halo Nuclei"Nuclear Physics A. 722. 301c (2003)
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[Publications] K.Yoneda, T.Nakamura et al.: "Beta-decay half lives and beta-delayed neutronmultiplicities of the neutron drip -line nuclei 19B,22C and 23N"Phys.Rev.C. 67. 014316 (2003)
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[Publications] N.Imai, T.Nakamura et al.: "Anomalously Hindered E2 Strength B(P2,2+ to 0+ in 16C"Physical Review Letters. 92. 062501 (2004)