2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素化された遍歴電子メタ磁性体の高圧下における磁気的な性質
Project/Area Number |
02F00049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 恒昭 東京大学, 物性研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOLOMIYETS O. V 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 遍歴電子メタ磁性 / 水素化物 / 遷移金属化合物 |
Research Abstract |
遍歴電子メタ磁性、即ち、磁性を持たない金属が磁場によって強磁性体に変化する現象、を示す物質が発見され、基礎的な研究が著しく進展すると共に、近年、遍歴電子メタ磁性体は磁歪や磁気冷凍材料などの応用材料としても注目をあびている。応用材料としての特性を変化させる有力な手段として水素化の方法が考えられているが、水素化よる物性変化のメカニズムは未だ不明である。本研究では、典型的なメタ磁性体の水素化物Y(Co_<1-x>Al_x)_2H_y(x=0.06,0.075)磁気的な性質を調べた。 Y(Co_<1-x>Al_x)_2H_yは水素濃度を増加させるとメタ磁性転移はブロードになるが、水素濃度がy【less than or equal】0.72まで明瞭な転移が観測された。転移磁場はy【less than or equal】0.28までリニアーに減少し、その後、少し増加した。これまで、水素化よる磁性の変化は主に水素化による体積の増加で説明されてきたが、観測された転移磁場の変化は体積の増加だけでは説明できない。そこで水素濃度がy【less than or equal】0.28の試料を用い、水素化物に高圧を加え、体積の減少による転移の振舞いを調べた。圧力を加えると転移磁場は圧力に比例して増加する。この結果は、水素化によって体積が増加すると、メタ磁性の転移磁場が減少することを示している。しかし、水素化による転移磁場の減少は、体積の増加から予想されるよりも2倍以上も大きいことが判明した。これらの結果は、水素化によるメタ磁性転移の変化が、体積が増加する効果の他に、Coの3dバンドが水素との共有結合によって大きく変化することによって生じることが判明した。
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