2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00050
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 祐司 東京大学, 物性研究所, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GAIFULLIN M B 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 高温超伝導体 / Bi:2212 / パンケーキ渦 / 渦糸格子 / 電子線照射 / デカップリング / ブラッググラス / ボーズグラス |
Research Abstract |
本年度は電子線照射した高温超伝導体Bi:2212の渦糸状態の研究をジョセフソンプラズマ共鳴の実験により主として行った。Bi:2212では磁場を超伝導面に垂直方向にかけると2次元的ないわゆるパンケーキ渦ができる。パンケーキ渦は面に垂直方向に弱くジョセフソン接合を介して結合してつながる。したがってジョセフソン接合強度を直接測定することによりパンケーキ渦の配列の仕方を直接観測することができる。低磁場ではパンケーキ渦は格子を組んだ状態、いわゆるブラッググラスと呼ばれる状態になっていると考えられている。高温高磁場ではブラッググラスは熱揺らぎのため融解して液体となる。我々はジョセフソンプラズマ共鳴を低磁場高温相で行い磁場方向へのパンケーキ渦の相関長の温度依存性と磁場依存性を詳細に調べることに成功した。特にマイクロ波周波数を連続的にスイープしてボロメーター法により試料のマイクロ波共鳴吸収を測定した。ジョセフソンプラズマ共鳴によるジョセフソン接合強度の測定の結果高温低磁場相での渦糸の融解現象はデカップリング型の相転移であることを明らかにした。次に電子線を照射したBi:2212に対して同様の測定を行った。その結果低磁場高温相でのパンケーキ渦糸の磁場方向への相関長の磁場依存性には電子線照射の効果はほとんどみられないことが明らかとなった。このことは高温領域ではピン留めの強さにより渦糸格子の融解現象自体が影響を受けにくいことを示している。現在重イオン加速器によりコラムナー型の欠陥を導入した試料についての同様の実験を行っている。この実験によりボーズグラスと呼ばれる新しい熱力学相での渦糸格子の融解現象をミクロな立場から明らかにできると考えている。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] S.Colson et al.: "Vortex fluctuations in underdopedBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ> crystals"Physical Review Letters. 90. 137002 (2003)
-
[Publications] S.Colson et al.: "Josephson plasma resonance in underdoped underdopedBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ> crystals"Physica C. 369. 236 (2002)