2002 Fiscal Year Annual Research Report
衛星観測と海洋観測を合わせ用いた南シナ海の海洋循環に関する研究
Project/Area Number |
02F00056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川村 宏 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HU Jianyu 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 南シナ海 / 台湾海峡 / 衛星海洋観測 / 海洋数値モデル / 海洋潮汐 / 水温フロント / クロロフィルaフロント |
Research Abstract |
本研究の目的は、南シナ海の循環に関し、最新の衛星観測を中心に、既存の観測資料も合わせ用いて、総合的に研究することである。特に、我々がこれまで明かにしてきた、北部南シナ海と台湾海峡・北太平洋との相互作用に注目し、南シナ海全体の循環を考える。衛星観測の高解像度特性を生かし、特徴的な短期的事象を数多く抽出し、そのメカニズムを調べる。東北大学において独自に作成された長期(10年以上)高解像度海面水温を用いて、季節変動からENSOスケールまでの南シナ海の長期変動について調べる。 平成14年度は、まず、数値海洋モデルを用いて、南シナ海の潮汐変動について解析を行った。プリンストン海洋モデルを用いて、南シナ海・台湾海峡について数値実験を行う環境を構築した。ベトナムと中国の国境付近の海南島周辺に発生する水温・クロロフィルaのフロントについて、この数値モデルによって調べたところ、これらが潮汐による海水混合で形成されることが明らかになった。潮汐による機械的な混合が、夏場に形成される季節的な混合層を破壊するとともに、下層から栄養塩に富んだ水塊を巻き上げ、植物プランクトンの活動度を上げている。この結果は、英文論文にまとめている。 さらに、同様の数値モデルにより、台湾海峡に夏場に発生する湧昇現象について解析を開始した。衛星観測により、海面水温低下域が観測されるが、この分布は海洋観測によって湧昇域に対応することが分かった。今後は、数値モデルにより、その現象の再現を目指す。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hu, J., Kawamura, H., Hong, H.S., et al.: "A review on the upwelling in the Taiwan Strait studied by hydrographic observation and numerical modeling"Bulletin of Marine Science. (印刷中). (2002)