2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 雅夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BALYKOV Lev Nikolaevich 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 結晶成長理論 / 晶相変化 / 鉱物 / 平均場近似 |
Research Abstract |
本研究の目的は、なぜ、地球や惑星を構成する鉱物は成長時にその形(晶相)を変化させるのかという古くから知られた問題を解く事にある。具体的には、その場に係る原子の振る舞いを記述する事から始めて、マクロな形態の変化を理論的に予測できるようにすることである。 本年度は、(1)平均場近似によって解析解を求めることと、(2)コンピューターによる数値計算、を平行して行った。(1)では、結晶化の素過程であるキンクカイネティックスを詳細に再検討し、成長単元のキンクに取り込まれる過程の差異がステップの"荒れ"に与える影響を見積もる理論を構築した。(2)では、(1)で構築した理論と、計算機数値実験による結果を比較し、成長時および溶解時の多くの条件下で、この理論が適用できる事が明らかになった。また、この理論に基づき、結晶の成長単元が結晶のキンクサイトに取り込まれる時、直接入る過程より複合過程を経たほうが速くなる事の一般的な結果として、晶相変化が生じる事を示す事に成功した。このことから、晶相変化図を始めて2次元結晶に関して理論的に導く事が出来るようになった。 次に、2次元島に関する理論を3次元結晶に適用できるように拡張を図った。その結果、晶相変化にとって重要な要因と知られている"不純物効果"について、まず、2次元島を対象として基礎理論を構築する必要があるとの認識を得、"不純物効果"について研究を開始した。我々の理論との対比から、不純物は、結晶化にとって最も重要なキンクサイトでの活性化エネルギーを増加させる事によって、晶相に影響を与えるという仮説を得た。この仮説に基づいて、平均場近似によって解析解を求めることと、コンピューターによる数値計算を平行して行った。その結果、多くに実験結果から知られているように、一定の過飽和度下で不純物濃度の増加と共に晶相が変化する事を理論的に示す事に成功した。さらに、3次元結晶の場合の重要な問題点である転位の役割について考察をした。 これらの一連の研究について、2003年7月にアメリカ合衆国コロラド州で開催された国際会議などで発表を行うと共に、諸外国の研究者との意見交換を行った。また、前半部の成果は現在国際誌に印刷中であり、後半部の成果についても国際誌の投稿すべく執筆中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] L.Balykov, M.Kitamura, I.Maksimov: "Mean-field theory of habit change phenomenon during crystal growth"Physical Review B. 69,12(in press). (2004)