2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱弾性逆問題に対するロバスト計算手法の開発とその応用
Project/Area Number |
02F00073
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 正隆 信州大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARTUR Guzik 信州大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 逆問題 / フィルタ理論 / 熱伝導 / 熱変形 / 熱弾性 / 境界値同定 / 有限要素法 / 境界要素法 |
Research Abstract |
温度分布や変位の計測結果をもとに弾性固体中に生じている熱応力等を推定する逆問題は,高温環境下で使用されている種々のプラントの安全性を診断するうえで極めて重要である.本研究では,この逆問題をパラメータ同定または関数同定の逆問題としてモデル化し,それに熱弾性問題の有限要素解析と最適動的フィルタ理論(ODF)または統一的最小二乗法(ULS)を適用してロバストな逆解析手法を開発することを目標に行なっている.そして,それを具体的な熱プラントの問題に適用し,リアルタイムでその安全性を診断するシステムを構築する.熱弾性問題の解析はまず有限要素法(FEM)を用いて行なった.次に,受入れ研究者が開発済みの境界要素法(BEM)を用いて汎用性が高く柔軟でロバストな逆解析手法を開発した.幾つかの具体的問題に応用し,逆解析手法の有効性を数値シミュレーションで確認した. 今年度は,熱プラントの故障診断をイメージして,高温の流体が厚肉円管内を流動していている場合を取り上げる.厚肉円管内の流体の温度が時間的及び場所的に変動する場合を想定する.そして,厚肉円管外部の表面温度を幾つかの点で計測しているデータをもとに,高温流体の温度の時間変動を推定する逆問題を詳しく調べた.有限要素法の解析技術とフィルタ理論を結合した反復解法をまず確立し,それを用いて逆解析を行なった.温度の場所的な変化の推定には,外部表面の温度測定位置と内部温度の補間の仕方で,推定精度がかなり変化することを明らかにした.この結論は,境界要素法を用いても大きく変わらなかった. 得られた研究成果を英国で開催された国際会議と日本で開催された国際会議で発表し,参加していた研究者と情報交換をした.また,国内の学術講演会でも研究成果を英文で発表した. 上記の研究成果を基礎にして,一般的な初期値-境界値問題における境界値同定の逆解析アルゴリズムを開発する研究計画を立て,平成16年度も引き続きこの研究題目での研究を続けることになった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masataka Tanaka: "Retrieval of spatially and temporarily highly-varied thermal and structural loads distribution by inverse analysis"日本機械学会第16回計算力学講演会講演論文集. No.03-26. 635-636 (2003)
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[Publications] Masataka Tanaka: "Software and algorithms for inverse thermoelasticity problems"Proc.11^<th> Annual ASCE Conf.. 173-176 (2003)
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[Publications] Masataka Tanaka: "An inverse problem of transient thermoelasticity in retrieving boundary condition"Transactions of JASCOME, Jour.of BEM. 20. 27-32 (2003)
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[Publications] Masataka Tanaka: "A BEM-based technique for solving inverse problems of transient thermoelasticity with uncertain boundary conditions"Computational Engineering I. 221-230 (2003)