2002 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋コンクリートディープビームを有する建築構造システムの耐震性
Project/Area Number |
02F00101
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 史夫 京都大学, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Jin?Seop 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ディープビーム / 間接支持 / せん断強度 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート造の複合施設建物(1階が店舗で上層階が集合住宅)では、店舗部分の空間確保のため2階床梁を極めて大きな梁高さのディープビームとし、上層階の柱軸力を支える形式が多用される。このような耐震架構では、上階の柱軸力を格子梁状に配置されたディープビームで支えることになり、ディープビームは直接柱を支えるものと、間接的に支えるものに分類される。本研究では、この間接的に隣接するディープビームからのせん断力を支えるディープビームのせん断抵抗機構を実験と解析により明らかにすることを目的としている。 従来の研究では、間接的にせん断力が加わる梁のせん断強度は、直接支えるものに対して小さいことが指摘されているが、実験では簡略化した方法(梁の側面に載荷スタブを設ける)で証明されているに過ぎない。実際の、せん断力伝達は、隣接梁を介して行われるわけで、その機構は、曲げ圧縮ゾーン、曲げひび割れ面の骨材かみ合い、軸鉄筋のダウエル作用など、多くの影響因子が複雑に絡み合っている。これを明らかにする為には詳細な実験と解析が不可欠である。 研究では、直接せん断力が加わるもの、隣接梁から間接的にせん断力が加わるもの、梁側面のスタブを介してせん断力が伝わるものの3種類の試験体に関するせん断破壊実験が実施された。結果の詳細な検討は現在進行中であるが、得られた成果の主なものは以下のとおりである。 1.従来の指摘によるせん断耐力の低下は認められず、梁側面にスタブを設けた実験の結果は、間接的にせん断力が入力するディープビームのせん断強度予測には適用できない。 2.せん断破壊時のたわみは、間接的にせん断力を加える梁のせん断スパン比が大きいほど大きくなる。 以上は、実験結果の一部であるが、第一項は従来の考えを覆す可能性があり、現在詳細な分析を実施している。
|