2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XIE Q. 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ヘルスモニタリング / ウェーブレット / 鉄骨骨組 / 損傷 / 亀裂 / 破断 |
Research Abstract |
地震被害を受ける構造物の損傷程度をすばやくそして的確に把握することは地震防災の主要課題の一つを形成している。本研究では、Wavelet理論を用いたヘルスモニタリング手法の開発を主軸とし、その一環として本年度は実際の鉄骨骨組に対する崩壊実験を実施した。鉄骨骨組には変位計、荷重計、歪ゲージなどを約300点にわたって張り巡らし、局部の損傷開始と進展を同定するとともに、局部損傷と構造体全体の性能の相関を明らかにした。また初期欠陥と損傷の進展にどのような関係があるかを調べるために、構造体の一部の溶接接合部に対して意図的な溶接欠陥(未溶着部)を設けるとともに、梁端部と柱の接合位置に意図的なくい違いを配した。実験では漸増繰返し載荷を基本とし、変位振幅を次第に増やしてゆくことによって損傷を蓄積させ、一方で全体の抵抗力を計測することから、構造体としての性能劣化を測った。この実験から、微細な溶接亀裂や床スラブコンクリートの亀裂が変位振幅の増大とともに増えてゆくが、特に接合部近傍の亀裂の進展は全体挙動にほとんど影響を及ぼさない結果となった。また通常の耐震設計で考える変位振幅の4倍程度の大変形時に、梁端部下フランジの一つが破断し始め、断面の約50%が欠損するまで割れが進行した。しかし、この破断によって破断接合部近傍の応力は急変したが、他のスパンにおける応力状態はほとんど変化しなかった。これらの実験結果を参照しつつ、昨年度提案した損傷同定手法がどの程度本実験結果による損傷進展を追跡できるかを検討した。その結果、破断による応力変化は破断近傍に限られているため、破断個所に対して適切なセンターを配置していない限り、破断という損傷を同定することが極めて難しいことが再認識された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Xie, Q., Nakashima, M.: "Post-Kobe Seismic Design and Construction Practices of Steel Building Structures"Proceedings of Taiwan-Japan Workshop on Seismic Disaster Simulation and Loss Estimation, Taipei. November 23-25. 55-65 (2003)
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[Publications] Matsumiya, T., Xie.Q., Nakashima, M., Suita, K.: "Test on Collapse Behavior of 3D Full-Scale Steel Moment Frames Subjected to Cyclic Loading"Proceedings of the Seventh Pacific Conference of Steel Structures. March 24-27. (2004)