2003 Fiscal Year Annual Research Report
土壌植物大気系の水移動に基づく塩分集積防止策の研究
Project/Area Number |
02F00109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 洋平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN Nasir Mahmood 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 水ポテンシャル / 稲 / 塩分集積 / 蒸発散量 |
Research Abstract |
塩分による土壌水の水ポテンシャルの低下が、水稲の葉の水ポテンシヤルと蒸散量に対して、どのような影響を及ぼすかを調べ、葉の水ポテンシャルと蒸散量の定量的関係を得るポット実験をバイオトロン内で行った。塩水による影響をみるために、水道水で生育させたワグネルポット内の稲を、ある時点でポット上部から塩水を1ポアボリューム以上流すことでポット内部の水との入れ替え(以後塩水置換)を行い、塩水置換前後の蒸散量変化と葉の水ポテンシャルを測定し、塩水による影響把握を行った。塩水置換後、数日間、塩水下に置き、その後、水道水で置換して元に戻した。塩水置換の塩水濃度は、電気伝導度で3〜20dS/mの5段階とした。ポットごとに葉面積の違いによる蒸発散の違い、および日毎の日射量の違いによるポテンシャル蒸発速度の違いがあるため、測定した塩水置換ポットの蒸散量を水道水の対象ポットの測定値との比を求めて日射量に依存しない比を求め、さらにこの比を塩水置換直前の比で割って個体差に依存しない蒸散比とした。こうして得た蒸散比は、各個体の気孔開度を示すものと見なされる。実験により、以下が明らかになった。 1.土壌水の水ポテンシャル及び葉の水ポテンシャルが低下すると蒸散比は低下するが、その低下具合は日射量が大きい程大きくなった。 2.葉の水ポテンシャルと蒸散量の定量的関係を得た。蒸散比は葉の水ポテンシャルが-0.4MPa付近から急な低下をはじめ、水ポテンシャルがおよそ-1.0Mpaで蒸散比が0.5であった。 3.NaCl溶液とCaCl_2溶液を比較すると、蒸散比への影響はほとんど溶液の水ポテンシャルで決まり、両者に差はほとんどなかった。
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