2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 有司 東京大学, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DALAI Tarun Kumar 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 海洋 / オスミウム / レニウム / 負イオン表面電離型質量分析計 / 同位体比 / 海底堆積物 |
Research Abstract |
本研究では海洋におけるオスミウムの地球化学的挙動を解明するため、まず四重極型の負イオン表面電離型質量分析計(N-TIMS)によるオスミウムの分析法を検討した。その結果、数ngレベルのオスミウムの測定が可能であることが分かった。しかし、海洋環境中の試料を測定するには感度が不十分であったため、磁場型の負イオン表面電離型質量分析計を用いたレニウム及びオスミウムの分析法の基礎検討を行った。磁場型を用いた場合、オスミウムについては数十pgレベル、レニウムについては数百pgまでの測定が可能であることが明らかになった。ブランク値も低く、海底堆積物試料の分析は十分可能であった。堆積物試料の前処理技術の確立も行った。カリアスチューブ中に試料、スパイク、逆王水を封入して加熱することにより、試料の溶解を行った。揮発しやすいオスミウムをロスなく溶解することに成功した。オスミウムについては、四塩化炭素、臭化水素酸を用いて抽出し、白金フィラメント上に塗布できた。レニウムについては陰イオン交換樹脂を用いたカラム抽出法で分離を行った。これらは全てクリーンベンチ内で処理した。測定したブランク値は総じて低く、十分なクリーン技術を確立できたといえる。これらの基礎検討をもとに、太平洋で採取された堆積物コア試料中のレニウム濃度、オスミウム同位体比と濃度の測定を行った。いずれの試料についても、精度良く分析が可能であることが明らかになった。今年度確立した技術を基に、海洋環境試料中のオスミウムの測定を行い、その地球化学的挙動を検討する。
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