2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00133
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清岡 俊一 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UDDIN Md. Khabir 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ホウ素カチオン / ホウ素-11NMR / ルイス酸性 |
Research Abstract |
種々の条件下で、ホウ素カチオンの創製を試みた。検出には日本電子製JEOL JNM A-500核磁気共鳴装置を用いて、ホウ素-11化学シフトにより行った。ジフェニルクロロボランをボロンカチオンの前駆体として、アルゴン気流下種々のアプロティック溶媒中でルイス酸とテトラフェニルボレート等とカチオンアニオンペアリングを試みたが、重溶媒中の微量の水分との求核置換反応が極端に速く殆どの場合、ボロン酸またはその無水物に変化していた。高度無水条件下での数多くの実験で、ニトロメタン中、ペンタクロロアンチモンを用いた時のみ、ホウ素カチオンの発生が確認された。その他の条件下では、化学シフトに変化がないので、B-C1結合のイオン解裂には極性溶媒と超強力なルイス酸が必要な事が分かった。本年度の結論として、ジフェニルクロロボランのS_N1イオン化反応は以外と遅く、S_N2反応が極端に速い事がボロンカチオンの捕獲の困難な原因である事がわかった。これまでにホウ素カチオンの反応あるいはボロンカチオンの捕獲と報告されているが、真性のカチオンではない多くの例が明らかになった。カルボカチオンとホウ素カチオンを比較すると、後者の電気陰性度が小さい事に加えて、立体的に込み合いがない為に、イオン解裂でカチオンを生じるよりはS_N2反応が遥かに有利である事により、溶液中では溶媒求核剤との反応が先行すると結論される。現在、嵩高いメシチル置換体で、高イオン化のトリフレートによるホウ素カチオン生成を試みている。また、生成した2価のホウ素カチオンは溶液中では溶媒求核剤が配位しており、配位と共有結合との結合様式の区別をつける事が今後の課題である。配位ボロンカチオンのルイス酸性および不斉誘起との関連性が触媒機能の発現のキーポイントであるので、種々の条件での其の配位の結合様式および配位力の支配因子を定量的に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)