2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00142
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小林 速男 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Ha?Jin 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機伝導体 / 電子供与体 / 磁性体 / カチオンラジカル塩 / 構造有機化学 / 結晶構造 / 安定有機ラジカル |
Research Abstract |
我々はこれまで伝導性と磁性を併せ持つ多機能性伝導体の開発に着目してきた。その中でπ有機ラジカルを内包したドナー分子は伝導電子と局在スピンの間の大きな相互作用が発現し、伝導電子を介した磁性スピンの秩序化等、磁性伝導体を開発する上で新たなる現象の発見が期待される。そこで、我々はこれまで有機ラジカルを有する各種ドナーを合成し、その構造と性質について明らかにしてきた。また、それらのドナーのカチオンラジカル塩の構造と物性についても報告してきた。今回、TTP骨格を用いたドナー分子のカチオンラジカル塩の電気的・磁気的物性を調べたところ、立体障害の大きな有機ラジカル部位を有しながらも室温伝導度が10^0-10^<-1>S・cm^<-1>程度の良好な値を示し、活性化エネルギーが0.1eV程度の半導体的伝導挙動を示すものが得られた。一方、ESRとSQUIDの測定から、これらの塩は100K以上で伝導電子と局在スピンが共存した常磁性半導体であることが判り、40K以下では有機ラジカル由来のスピンが反強磁性的な相互作用を示す。以上のように立体障害の大きなラジカル部位を有しながらも良好な伝導性を示す常磁性伝導体が実現できたことは今後の磁性金属開発のための足がかりになると思われる。 また、分子間相互作用を強め、金属的な伝導挙動を実現することを目的として、セレンを導入した誘導体分子について合成を行い、その構造を明らかにしている。
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