2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーブレンドの相挙動と相分離構造に関する高せん断流動の効果
Project/Area Number |
02F00174
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
扇澤 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MADBOULY Samy Abbas 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリマーブレンド / せん断流動 / 相挙動 / 相分離構造 / 粘弾性パラメータ / 濃度ゆらぎ |
Research Abstract |
ポリマーブレンドの相挙動に関してせん断流動は大きな影響を及ぼすが、その挙動を明らかにするために粘弾性的なパラメータの影響を調べた。例えば、低温で混合し高温で相分離する下限臨界共溶温度(LCST)型相図を有するポリメタクリル酸メチル(PMMA)/αメチルスチレン・アクリロニトリル共重合体ブレンドなどについて、レオメータを用いてその粘弾性挙動を測定した。ゼロせん断粘度や絡み合い平坦域弾性率は、ブレンド組成に対して負の依存性を示し、ブレンドによって有効絡み合い点が減少することがわかった。これは、せん断流動によって混合の自由エネルギーの組成依存性が負の方向に働き、濃度ゆらぎの増大を抑えることを意味している。つまり、LCSTを増加させて1相領域を増大させる(混ざる領域を拡大させる)ことになるわけである。このことは、相図のせん断速度依存性と一致していた。また、粘弾性測定におけるせん断貯蔵弾性率の温度による変化から、相図の1相-2相の転移を測定することができることが明らかとなり、曇り点測定から得られた結果と一致することを示した。相図のせん断速度依存性を測定し、低分子混合系などと比較することにより、濃度ゆらぎの緩和時間が相挙動のせん断速度依存性の大きさを決定づける最も有力なパラメータであることが示された。これは、ブレンド系の粘度に大きな影響を受けるため、やはり粘弾性パラメータがこれらの挙動を大きく支配しているものと考えられる。 相分離構造がせん断流動によって、どのように影響を受けるかについても検討を行った。相分離構造は、せん断速度に大きく依存し高せん断速度ではかなり引き伸ばされた形となった。また、相分離させる点の相境界からの温度差が、相分離構造に影響を及ぼすことも明らかにされた。
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