2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
依田 幸司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BHUIYAN Md Shah Alam 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酵母 / ゴルジ体 / 必須遺伝子 / 小胞輸送 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
ゲノム全塩基配列が1996年に公表された酵母Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子の中には、機能未知のものがまだ多数存在している。遺伝子破壊実験から、生育に必須であることが判明しており、かつ膜タンパク質であると予想されるものについて、タグ標識タンパク質を発現させてその局在を調べた。YBR070cの遺伝子産物は、237アミノ酸からなるタンパク質だが、3つの膜貫通領域をもつと予想された。タグ標識したタンパク質は、破壊株で発現するとその致死性を回避することができることから、タグを付加しても正常な機能を失っていないことを確認した。細胞を破砕してそれを遠心分画すると、タグ標識タンパク質は沈殿画分に回収され、その電気泳動試料を煮沸するとタグ標識タンパク質がゲル内に泳動されないという、膜タンパク質固有の特徴を示した。免疫蛍光染色による観察では細胞内に斑点状の像が認められた。このことは、Ybr070cタンパク質がゴルジ体に存在することを強く示唆している。データベース上には、Ybr070cタンパク質がYg1047wというやはり生育に必須で機能未知のタンパク質と結合することが記載されている。Yg1047wは、Atp7,Clc1,Mrpl13,Tub1,Tub3,Ydj1,Gpi17,Tlg1,Las17,Ygr117cなどと結合し、これらの中には小胞輸送の後期と関わりの深いものがあることから、Ybr070cは、ゴルジ体において、小胞輸送の未知の必須な機能をはたしていることが強く示唆される。その機能を明らかにするために、本遺伝子の変異株の取得を試みた。PCRでランダムな塩基置換を遺伝子内に導入させ、プラスミドで遺伝子破壊株中の野生型遺伝子と置換した。約4000の形質転換体のなかから、30℃では生育するが37℃でコロニーを作れない温度感受性株を2つ取得することに成功した。
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