2002 Fiscal Year Annual Research Report
無臭チオール及びスルフィドの創製とそのグリーンケミストリーへの応用
Project/Area Number |
02F00182
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野出 学 京都薬科大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRANAB Kumar Patra 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 悪臭硫黄試薬 / 無臭代替品 / 無臭チオール / 無臭スルフィド / 合成 / 応用 / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
有機合成に良く使用される有機硫黄試薬には、エタンチオールやベンゼンチオール等のチオール試薬やジメチルスルフィドに代表されるスルフィド試薬がある。これらは極めて強い悪臭を放ち、研究者に不快感や健康を害するのみならず周辺の住民にも被害を及ぼす事もある。しかし、上記の硫黄試薬類は有機反応には必要不可欠の試薬であることから、上記試薬類の無臭化を研究課題として検討を始めた。Dr.Patraが来日するまでに研究代表者は脂肪族チオールの無臭代替品としてドデカンチオールを、芳香族チオールの無臭代替品としてベンゼン環にヘプチル基を導入したチオール類を開発してきた。一方、悪臭スフイドの無臭代替品としてはドデシルメチルスルフィドを開発し、エーテル結合の解裂反応や酸化反応に有効であることを示した。Dr.Patraが実施した研究は無臭の光学活性チオールを用いた新規反応の開発と無臭スルフィドの改良を検討した。 1.無臭の光学活性チオールを用いた新規反応の開発 α,β-不飽和ケトンに無臭の光学活性チオールとルイス酸を用いて反応させたところ、高立体選択的不斉Tandem Michael-MPV反応を開発することができた。反応基質としては脂肪族、芳香族どちらの置換基を有するα,β-不飽和ケトンにおいても反応は良好に進行し、上記生成物に無臭チオールを用いて分解反応を行なうと96〜99%eeの高いエナンチオ選択性で光学活性1,3-メルカプトアルコールを得ることができた(論文投稿中)。 2.無臭スルフィドの改良 先に開発した無臭スルフィドは脱アルキル化や酸化反応に有効であるが、生成物の分離操作に分別抽出が適用できない欠点がある。この欠点を改善するためスルフィドの分子中にアミノ基をもつ各種スルフィドの合成を検討中である。
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