2003 Fiscal Year Annual Research Report
田辺湾沿岸生態系におけるメイオ-およびマクロベントス群集のエネルギー収支
Project/Area Number |
02F00193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白山 義久 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 沃煥 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | エネルギー流動 / メイオベントス / マクロベントス / 田辺湾 / 分布 / 環境要因 |
Research Abstract |
田辺湾におけるメイオおよびマクロベントス群集のエネルギー動態 沿岸域底生生物生態系のエネルギー動態を理解するためには、食物網を構成する各要素の生物量、生産量および摂食量を定量化し、その関係を明らかにする必要がある。魚類とマクロベントスとの関係については多少の報告があるが、マクロベントスとその餌との関係はわかっていない。そこで本研究ではマクロベントスとその餌となるメイオベントスとの食物関係を田辺湾において調べた。まず、8地点において、2002年5月から2003年5月まで毎月堆積物の定量サンプルをスミスマッキンタイヤ採泥器で採取した。同一地点で4サンプルを取り、そのうち3試料をマクロベントスの定量分析、1試料をメイオベントスの定量と環境要因としてのPh、Eh、堆積物の粒度分布、Ch1.a、有機炭素含量、窒素含量の測定に用いた。また海底直上水を採取し、溶存酸素と有機炭素含量の測定を行った。 環境変数の多変量解析の結果、田辺湾は湾奥南部(A海域)と湾奥北部から湾口部(B海域)の2つの海域に分割でき、前者から後者にかけて、堆積物の粒度は増加し、有機炭素及び窒素含量は減少した。 多毛類と線虫類は、マクロベントスとメイオベントスとでもっとも優占するグループで、全体の70.4%と60%を占めた。マクロベントス群集は、北部湾口(A-1)、北部湾奥(A-2)、南部湾口(B-1)、および南部湾奥(B-2)の4グループに分類され、A-1の密度がもっとも高かった。また構成種にも顕著な違いが見られた。メイオベントス群集は北部湾奥(A)と南部(B)の2グループに分けられ、前者の密度が高かった。各ベントスの分布は有機炭素含量に強く影響されていた。しかし、採集時期による変化はあまりなく、田辺湾の環境が安定していることを示唆していた。また多毛類/端脚類比と線虫類/かいあし類比は正の有意な相関があった。この結果は、これらの指数が環境の指標として有用であることを示唆している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] OK HWAN YU, HAE-LIP SUH, YOSHIHISA SHIRAYAMA: "Feeding ecology of three amphipod species Synchelidium lenorostralum, S.trioostegitum and Gitanopsis japonica in the surf zone of a sandy shore"Marine Ecology Progress Series. 258. 189-199 (2003)