2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物の生長・分化におけるメチオニンレベルに応答した遺伝子発現制御の分子機構
Project/Area Number |
02F00195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内藤 哲 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOTO Derek Bartlem 北海道大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | メチオニン / シロイヌナズナ / mto変異株 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
高等植物におけるメチオニンの生合成制御ならびにメチオニンによる遺伝子発現の制御についての研究を行った.シロイヌナズナを用いてメチオニンを過剰に蓄積するmto1,mto2,およびmto3変異株を用いてcDNAマイクロアレイを用いた解析により,遺伝的に異なるメチオニン過剰蓄積変異のバックグラウンドでの遺伝子発現の違いを調べるための実験系を確立した.また,野生型株とmto1変異株でのcDNAマイクロアレイを用いた解析により,mto1変異株で発現レベルが上昇している遺伝子AtMRU1と,顕著に減少しているAtMRD1遺伝子を単離したが,これらはいずれも新奇遺伝子であり,発現量も極めて少ない.AtMRD1遺伝子についてノーザンハイブリダイゼーションおよびリアルタイムPCRにより,発現の制御因子を解析した.遊離のメチオニンレベルが上昇しているmto1変異株ではcDNAマイクロアレイでの解析結果と同様に,発現が顕著に低下していた.しかしながら,野生型株の植物体ならびに液体培養カルスへのメチオニン投与実験では遺伝子発現に変化は見られなかった.したがって,AtMRD1遺伝子の発現制御には,メチオニンに関連するものの,メチオニン以外の因子が関与していることが示された.AtMRU1とAtMRD1遺伝子遺伝子の詳細な転写単位の解析を行うとともに,遺伝子産物の機能解析のためにセンスおよびアンチセンス遺伝子を導入したトランスジェニック・シロイヌナズナ株,ならびにGreen Fluorescent Protein(GFP)遺伝子との融合遺伝子を導入したトランスジェニック・シロイヌナズナ株を作出した.T2植物までの段階では得られたセンスおよびアンチセンスのトランスジェニック植物について,生育や形態に野生型株と顕著な違いは見られなかった.
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