Research Abstract |
1.アズキノメイガOstrinia scapulalis,アワノメイガO. furnacalis,ウスジロキノメイガO. latipennis,ゴボウノメイガO.zealisの4種の幼虫に人工飼料Silkmate 2M (日本農産工業製)を与え,その糞を採集した.ろ紙を産卵基材とした生物検定法を開発し,これによって糞の産卵抑制効果を調査したところ,すべての種の糞は同種のメスの産卵を抑制することがわかった. 2.ゴボウノメイガの糞のアセトン粗抽出物,粗抽出物を分画して得られた,水溶性画分,中性脂肪画分,酸性脂肪画分を生物検定したところ,粗抽出物および酸性脂肪画分に産卵抑制活性が認められた.酸性脂肪画分をガスクロマトグラフ-質量分析計により分析し,化学成分の同定を行ったところ,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸の5種の直鎖脂肪酸が多く含まれていることがわかった.これらの脂肪酸の含有率はOstriniaの種によらず,ほぼ一定であった. 3.同定された5種の有機脂肪酸の標品をもちいて,ゴボウノメイガの糞中と同じ組成の混合物を作り生物検定したところ,この混合物は4種のOstriniaすべてに対して産卵抑制効果を示した. 4.以上の結果より,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸のすべて,またはその一部が産卵抑制フェロモンの本体であることが明らかとなった. 5.Ostriniaの卵(卵塊)の産卵抑制効果についても調査したところ,卵が産卵抑制フェロモンを放出していることがわかった.SPME法によって卵から放出されている化学物質を探索したところ,興味深いことに,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸の5種の直鎖脂肪酸が検出された. 6.現在,同定された5種の脂肪酸の構造-活性相関について詳細に検討している.
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