2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブロムモザイクウィルス欠損RNAの増幅と粒子化に必要な塩基配列とRNA高次構造の解析
Project/Area Number |
02F00210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥野 哲郎 京都大学, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRI ASMIRA DAMAYANTI 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 粒子化RNA / 植物RNAウィルス / ブロムモザイクウィルス / RNA複製 / Encapsidation / stem-loop構造 |
Research Abstract |
球形RNAウイルスの粒子化機構についてはほとんど明らかにされていない。本研究では、3分節の一本鎖プラスセンスRNAをゲノムとして持つブロムモザイクウイルス(BMV)を用い、RNA3の粒子化に必要な塩基配列と高次構造を解析した。3aORF内に66塩基あるいは69塩基の欠失を導入したRNA3変異体をRNA1と2と一緒にオオムギプロトプラストに接種し、粒子画分RNAを調べた。その結果、3aORF内の塩基配列866から934を欠失したRNA3変異体の粒子化効率が顕著に減少することが分かった。本変異RNA3の複製活性と安定性は野生型のRNA3と同等であったため、塩基配列866から934の領域がBMV RNA3の粒子化に必要な配列であることが明らかになった。さらに、RNA高次構造解析コンピュターソフトを使って、866から934の領域のRNA構造を調べたところ、3つのstem-loop構造(SL1,SL2,SL3)が予測された。これらSL1,SL2,SL3を特異的に構造破壊した変異体RNA3の粒子化を調べた結果、SL2構造を破壊したRNA3の粒子化効率が特異的に減少した。この結果、SL2は粒子化に重要なシス配列を持つことが分かった。また、BMV外被タンパク質によって粒子化されないBMVRNA3キメラ、(BMV3aoRFをCMV3aORFに置換したもの)に、SL2を含むBMV3aORF領域を導入すると、その変異キメラRNA3(B3CmpSL2)の粒子化効率は顕著に増大した。一方、B3CmpSL2のSL2構造を特異的に破壊すると粒子化されなくなった。これらの結果から、3aORF内の塩基配列866から934、特にSL2が、BMVRNA3の粒子化において重要な役割を果たしていることが明らかになった。3a3端配列を置換したものが見事に粒子化効率が回復することが明らかになった。
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