2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00213
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Research Institution | Okayama University |
Host Researcher |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授
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Foreign Research Fellow |
SHEN Hong 岡山大学, 資源生物科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | アルミニウムストレス / クエン酸分泌 / シグナル伝達 / イオンチャンネル / ダイズ根 |
Research Abstract |
アルミニウム(以下、Alと記す)による有機酸分泌に関わるアニオンチャンネルの活性化は、Al誘導性の有機酸分泌の重要な機構として知られている。しかし、Alによるアニオンチャンネルの活性化の機構については分かっていない。そこで本研究では、ダイズ根のAl誘導性のクエン酸分泌についてシグナル変換が関与している可能性について解明した。 クエン酸分泌はAlの濃度と処理時間に依存的であること、他のイオンではクエン酸分泌が殆ど見られないことを明らかにした。アニオンチャンネル阻害剤によりAl誘導性のクエン酸分泌は強く阻害されたが、Al誘導性のK+分泌は殆ど阻害されなかった。 Al誘導性クエン酸分泌は、タンパクリン酸化とフォスファターゼの阻害剤により抑制された。特に、タンパクリン酸化の阻害剤であるK252aにより強く阻害されたので、クエン酸分泌にタンパクリン酸化が関与していることが明らかになった。Gタンパク調節剤によりクエン酸分泌は約50%阻害された。またATP-結合カセット阻害剤であるDPG (diphenylanine-2-carboxylic acid)とglibenclamideにより、Al誘導性クエン酸分泌が26〜56%程度阻害された。これらの結果はAl誘導性クエン酸の分泌の径路には複雑な制御機構が働いていることを示唆している。さらにAl処理によるアブシジン酸(ABA)の増加を認めたが、ABAそのものあるいはABA合成の阻害剤によってAl誘導性クエン酸分泌は影響を受けなかった。これらの結果はABAはAlのシグナル変換機構に関与しているが、直接Al誘導性のクエン酸分泌には関与していないことを示唆している。
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