2002 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌におけるグルコースによる形態分化・抑制機構の解明
Project/Area Number |
02F00215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀之内 末治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 正又 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 放線菌 / グルコース制御 / 形態分化 / 二次代謝 / 分泌酵素 |
Research Abstract |
放線菌の形態分化は、高いグルコース濃度で抑制される。本研究は、グルコースがいかに形態分化の制御を行うかという機構を分子レベルで解明するものである。これまでの成果は、以下のようにまとめられる。 (1)グルコース耐性変異株Streptomyces griseus VHK2は、グルコース濃度10%以上でも胞子を着生し、キチナーゼ、アガラーゼ、キシロースイソメラーゼも生産した。本変異株のグルコースキナーゼのグリシン(147番目)がアルギニンに変異していたことから、グルコース制御にグルコースキナーゼの重要な役割が示された。 (2)グルコースキナーゼと相互作用するタンパク質を同定するために、ヒスチジンタグを付加したキナーゼ大量調製し、免沈により約47kDaのタンパクを同定した。現在は、このタンパク質のアミノ酸配列を決定しつつある。 (3)グルコースキナーゼ以外に変異点を有するグルコース耐性株として、VHK4を取得した。塩基配列決定の結果、VHK4のグルコースキナーゼは正常であった。この変異株は、グルコース制御に新知見をもたらす可能性が大きく、ショットガンクローニングによって本変異遺伝子を同定する予定である。 以上のように、放線菌のグルコース抑制の分子機構を明らかにするために2通りの方法を採り、グルキースキナーゼ以外の系については有用な変異株を単離できた。これらはいずれもグルコース抑制機構を解明するための有効な予備試験結果となっており、来年度の本格的実験に向けて明るい材料である。
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Research Products
(1 results)