2003 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌におけるグルコースによる形態分化抑制機構の解明
Project/Area Number |
02F00215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀之内 末治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 正又(Seo Jeong?Woo) 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 放線菌 / グルコース制御 / 形態分化 / 二次代謝 / 分泌酵素 |
Research Abstract |
放線菌の二大特徴である形態分化と二次代謝は、グルコースによるカタボライト抑制を受け、この機構の解明は放線菌の基礎的・応用的理解に極めて重要である。 1.生化学的手法を用いたGlkA結合蛋白の探索 グルコースによるカタボライト抑制にはグルコースキナーゼGlkAが必須であることが知られている。これに基づき、アフィニティークロマトグラフィーによってStreptomyces griseus総蛋白からGlkA結合蛋白の探索を行った。現在、結合蛋白の候補として10本のSDS-PAGEバンドが得られている。このうち1本に関してN末端アミノ酸配列解析を行い、S.coelicolorの蛋白データベースと照合したところ、これはSCD95A.14と高い相同性を持つ蛋白のバンドである可能性が示唆された。残りの9本のSDS-PAGEバンドに関しては、今後順次N末端アミノ酸配列解析を行う。 2.遺伝学的手法を用いたグルコースカタボライト抑制に関わる遣伝子群の探索 ショットガンクローニング法を用い、グルコースカタボライト抑制に関わる遺伝子群の探索を行った。S.griseus変異株であるVHK4株を宿主とし、S.griseus野生株の遺伝子断片ライブラリーを低コピーベクターを用いて導入した。VHK4株は、胞子形成に関してグルコースカタボライト抑制が生じない、すなわち野生株では胞子形成に至らない高濃度グルコース培地にて胞子形成に至る変異株である。高濃度グルコース含有培地にて胞子形成に至らなくなった株を選別した結果、約3,000株の遺伝子導入体から1株の目的遺伝子保持候補株が得られた。これに関して遺伝子配列を決定した結果、この配列は約1.0kbであり、1つの完全orf及びC末端、N末端にそれぞれ部分orfを持つ部分に該当することが判明した。今後、この蛋白に関する表現型の観察を行う。さらに、S.griseus野生株を宿主とし、S.griseus野生株自身の遺伝子断片ライブラリーを高コピーベクターを用いて導入した。高濃度グルコース含有培地にて胞子形成に至るようになった株を選別した結果、約6,000株の遺伝子導入体から2株の目的遺伝子保持候補株が得られた。今後、これらの配列に関して、真にグルコースカタボライト抑制に関わる遺伝子の同定を行い、その機能を解析する。
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