2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの卵子突然変異遺伝子及びモディファイアー遺伝子の同定並びに作用発現の解明
Project/Area Number |
02F00228
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若杉 昇 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Wei Dong 名古屋大学, 生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マウス / 系統間交配 / 亜種間交配 / 精子卵子不適合胚 / 卵子細胞質要因 / 卵子突然変異遺伝子 / モディファイアー遺伝子 / マッピング |
Research Abstract |
(1)マウスの卵子突然変異遺伝子の作用発現に影響するモディファイアー遺伝子のマッピング。 DDK系統の保有する卵子突然変異遺伝子(Om)に関しヘテロ型(Om/+)の雌とC57BL/6(B6)雄(正常型:+/+)の交配において胚死亡率を高くするモディファイアー遺伝子の存在が示唆されている。この点の追究のため、戻し交配世代の雌335匹から164匹のヘテロ型雌を選ぶと共に20対のマウス染色体について338個のマイクロサテライトマーカーをチェックし、DDK系統とB6系統との間に多形性がある46個のマーカーを用意した。これらの戻し交配雌をB6雄に交配した時の繁殖成績(胚発生率)と46個のマーカーとの関連を追究し、モディファイアー遺伝子座がマウス第9染色体に位置すること、更に、同染色体上の4個のマーカーにより、モディファイアー遺伝子座が第9染色体の動原体近傍に位置することを明らかにした。 (2)B6系統とCASP系統(フィリピン産野生マウス由来)との間に胚死亡を誘起する不適合が存在する可能性の追究。 F_1(B6♀xCASP♂)♀xB6♂の交配における平均産子数(4.3、調査分娩数N=14)はF_1(B6♀xCASP♂)♀xDDK♂の平均産子数(8.9、N=10)及びF_1(B6♀xCASP♂)♀xCASP♂の平均産子数(7.3、N=9)の約1/2であった。このことはB6系統とCASP系統の間に胚死亡の原因となる遺伝的不適合が存在する可能性を示しており、この点について追究するため、以下の3種類の戻し交配における妊娠12日の胚死亡率を調べた。(a)[F_1(B6♀xCASP♂)♀xB6♂]N_2♀xB6♂(調査雌数N=65)、(b)[F_1(B6♀xCASP♂)♀xCASP♂]N_2♀xB6♂(N=33)、(c)[F_1♀xF_1♂]F_2♀xB6♂(N=36)。これらの交配における平均生存胎子数には有意差がなく、胎子生存率の分布はすべての交配において正常型(高生存率):異常型(低生存率)=1:1であった。これらの結果よりF_1(B6♀xCASP♂)♀xB6♂の平均産子数の低下は特定の遺伝子座がヘテロ型であることに起因することが示唆された。現在、この遺伝子座がOm遺伝子座かどうかを追究している。 (3)卵子突然変異遺伝子(Om)の塩基配列の解析。 ディーター ジャンヌ博士の依頼により、4系統(DDK、B6、MOM、CASP)の肝臓、脾臓、腎臓、精巣及び卵巣サンプルをドイツのマックスプランク研究所へ送った。現在、これら4系統のOm遺伝子座領域について解析が進められている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Zhao WD, Ishikawa A, Yamagata T, Bolor H, Wakasugi, N: "Female mice of DDK strain are fully fertile in the intersubspecific crosses with Mus Musculus molossinus and M.m. castaneus"Mammalian Genome. 13. 345-351 (2002)