2002 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞におけるTRPチャネルの生理機能に関する研究
Project/Area Number |
02F00235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 祐之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 一成 九州大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | patch-clamp recording / phospholipase C / IP_3 receptor / α_1-adrenoceptor |
Research Abstract |
G_<q/11>蛋白質共役型受容体の刺激により起こるイノシトールリン脂質代謝や細胞内Ca^<2+>貯蔵部位の枯渇に伴って、細胞膜に存在するCa^<2+>透過性チャネルが活性化され、このチャネルを介して細胞内にCa^<2+>が流入することが知られている。最近、このチャネルの分子実体がTRP蛋白質とそのホモログであることがわかってきたが、中枢および末梢神経系におけるTRPチャネルの性質とその活性化機構はほとんど明らかになっていなかった。本研究では、ラット心臓副交感神経節より急性単離したニューロンにニスタチン穿孔パッチクランプ記録法を適用して、ノルアドレナリン(NA)誘発カチオンチャネルの性質とその活性化機構について検討した。 膜電流固定下において、NAの投与により細胞膜は脱分極し、活動電位が発生した。膜電位固定下、保持電位-60mVにおいて、NAは細胞外Ca^<2+>およびMg^<2+>感受性のカチオンチャネルを活性化した。α1受容体アゴニストのシラゾリンもNAと同様にカチオンチャネルを活性化した。また、NA応答はα1受容体アンタゴニストであるプラゾシンやWB4101により抑制された。さらに、NA誘発電流はU73122、XeC、タプシガーギンおよびBAPTA-AMの前処理により抑制された。これらの結果から、NAはα1受容体、G_<q/11>蛋白質、PLC、IP_3受容体、Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出、カルモジュリンを介して細胞外Ca^<2+>およびMg^<2+>感受性のカチオンチャネルを活性化し、ニューロンを興奮させることが明らかになった。 以上の結果から、NAがネイティブなニューロンでTRPチャネルを活性化していることが明らかとなったが、今後、NAによって活性化されるカチオンチャネルの分子実体を解明するとともに、このチャネルの中枢における発現や活性化機構についても明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ishibashi H, Umezu M, Jang IS, Ito Y, Akaike N: "α_1-Adrenoceptor-activated cation currents in neurones acutely isolated from rat cardiac parasympathetic ganglia"Journal of Physiology. 548. 111-120 (2003)