2003 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経細胞におけるTRPチャネルの生理機能に関する研究
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02F00235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 祐之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JANG Il?Sung 九州大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | patch-clamp recording / presynaptic nerve terminal / Ca^<2+> store / CA3 pyramidal neuron / glutamatergic transmission |
Research Abstract |
膜に存在するCa^<2+>透過性チャネル(Store-operated Ca^<2+> entry channel ; SOC)が活性化され、このチャネルを介して細胞内にCa^<2+>が流入することが知られている。最近、このチャネルの分子実体がTRP蛋白質とそのホモログであることが判明してきた。しかし、中枢神経系、ことに中枢神経のシナプス前神経終末部にTRPチャネルが存在するか、またそのTRPチャネルの活性化が神経伝達物質の遊離に影響を及ぼすか否かについては全く不明である。本研究では、ラット海馬CA3領域から酵素を一切使用せずに機械的にニューロンを単離し、神経終末部が付着した錐体細胞にホールセルパッチクランプ記録法を適用し、TRPチャネルの活性化が神経終末部からのグルタミン酸遊離に影響を及ぼすか否かを検討した。 膜電位固定下(保持電位 -60mV)て記録されるsEPSCの頻度は細胞外Ca^<2+>を除去することにより有意に減少したが、外液にCa^<2+>を添加することにより回復した。しかし、無Ca^<2+>細胞外液中での処理時間を長くすればするほど、Ca^<2+>を再添加した際のsEPSCの頻度はコントロールよりも増加した。このような頻度増加作用は電位依存性Ca^<2+>チャネルアンタゴニスト存在下でも観察されることから電位依存性Ca^<2+>チャネル以外のCa^<2+>流入によって起こると考えられた。また、神経終末部内Ca^<2+>貯蔵部位を薬理学的に枯渇させると短時間の無Ca^<2+>外液処理によりsEPSCの頻度上昇作用が見られたが、SOCの拮抗薬であるGd^<3+>の前処理により抑制された。 以上の結果から、海馬CA3錐体細胞に投射するグルタミン酸作動性神経終末部にはTRPチャネルが存在し、終末部内Ca^<2+>貯蔵部位の枯渇に伴ってTRPチャネルか活性化され、Ca^<2+>が流入することが明らかとなった。このグルタミノ酸作動性神経終末部は他の微小神経終末部と比較して非常に大きいので、今後、この経終末部に直接にシングルチャネル記録法を適用して、このチャネルの詳細な性質について解明する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ishibashi H, Umezu M, Jang IS, Ito Y, Akaike N: "α_1 Adrenoceptor-activated cation currents in neurones acutely isolated from rat cardiac parasympathetic ganglia"Journal of Physiology. 548. 111-120 (2003)