2002 Fiscal Year Annual Research Report
サル/ヒト免疫不全ウイルスによるエイズ宿主免疫応答の研究とワクチン開発
Project/Area Number |
02F00241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KWOFIE T. B. 京都大学, ウイルス研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | エイズ / 動物モデル / HIV / SIV / SHIV / アカゲザル |
Research Abstract |
これまでの研究により、エイズの病原性に強く関与すると考えられているnef遺伝子を欠失させた弱毒生ワクチン株SHIV-dnで免疫したサルは、強毒株SHIV-89.6Pの攻撃接種に対して強い感染抵抗性を示すことが判っている。本年度は、dn免疫サルにおいて89.6P攻撃接種後一過性にウイルス増殖が認められたサルから再分離されたウイルスについて性状解析を行い、親株の89.6Pや非免疫サルに89.6P攻撃接種後再分離されたウイルスと比較した。制限酵素切断パターンによる解析から、再分離されたウイルスは89.6P型であり、免疫に用いたdnとの大きな組換えは起こしていないことが確認された。heteroduplex mobility assayによる解析で、env領域の3'末端領域とnef遺伝子の5'半分の領域において、非免疫サルから分離されたウイルスでは親株の89.6Pと同様に高度の多様性を示したのに対し、免疫サルから再分離されたウイルスでは多様性が激減していることが示された。ヒトとサルの末梢血単核球培養細胞(PBMC)、ヒトCD4陽性培養細胞株(M8166)、サルCD4陽性培養細胞株(HSC-F)におけるウイルスの性状解析では、免疫サルから分離されたウイルスは、親株や非免疫サルから分離されたウイルスに比べて増殖能・細胞毒性効果が著しく低下していた。以上の結果は、dn免疫サルにおいて、強病原性株が弱病原性に変異したか、あるいは弱病原性のクローンのみが選択されたことを示しており、弱毒生ワクチン接種によって、攻撃接種ウイルスの感染増殖を完全防御できなかった場合でも、攻撃接種ウイルスの病原性を減弱することによって発症を抑制する可能性が示されたと言える。
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Research Products
(1 results)