2002 Fiscal Year Annual Research Report
感染症初期免疫応答におけるTLRシグナル伝達経路の役割
Project/Area Number |
02F00244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松口 哲也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 鉄 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Toll-like receptor / 樹状細胞 / 自然免疫 / Th1 / Th2 / LPS / CpG DNA / IL-12 / リステリア |
Research Abstract |
目的 樹状細胞(DC)からの抗原提示を受けたヘルパーT細胞はTh1・Th2分化を示し、それぞれ主に細胞性・体液性免疫を誘導する。我々は以前、IL-12の早期産生量の差が、Listeriaに対するC57BL/6とBALB/cマウスの感染抵抗性の差に重要であることを示した。DCは数種のToll-Like recepter(TLR)を発現しており、TLRからの刺激はDCのサイトカイン産生、抗原提示能を調節する。今回、C57BL/6とBALB/c由来DCのTLR発現を比較することによって、Listeria感受性の機序を検討した。 結果・考察 6週齢のBALB/cおよびC57BL/6マウス脾臓よりDCを単離し、各種TLRの遺伝子発現を検討したところ、TLR2,4,5,6の発現はBALB/c由来のDCで強く、逆にTLR9の発現レベルはC57BL/6由来のDCで高かった。また、STAT4の蛋白発現レベルはC57BL/6由来のDCの方が著しく高かった。次にDCをLPS、lipoprotein、Zymosan、CpG-ODNで刺激しサイトカインおよびケモカインの産生量をELISAで測定して比較したところ、IL-12p40の分泌量はは全ての刺激において有意にC57BL/6由来DCで多く、MCP-1分泌量は、LPS、lipoprotein、CpG刺激時にBALB/c由来DCで高かった。また、TNF-α分泌はLPS、lipoprotein刺激においてBALB/c由来DCで有意に多かった。 最後にListeria静脈内接種後の脾臓DCにおけるTLR2,4の遺伝子発現を比較したところ、両系統のDCでTLR2 mRNAの一過性の上昇がみられ、TLR4はBALB/c由来DCでのみ発現が一過性に上昇した。 以上の結果からDCによるTLRの発現量の差がC57BL/6とBALB/cマウスのListeria感受性の違いの原因の一つと考えられた。
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