2003 Fiscal Year Annual Research Report
感染症初期免疫応答におけるTLRシグナル伝達経路の役割
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02F00244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 鉄 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ケモカイン / Toll様受容体 / 加齢 / 免疫応答調節 / Th1 / Th2バランス / 感染 / マクロファージ / T細胞 |
Research Abstract |
背景と目的 ケモカインは、もともとは炎症性細胞を炎症の場に誘引する因子として同定されたものであるが、免疫応答そのものについても重大な効果を持っている。もっぱら単球を誘引するC-C型のケモカインであるMCP-1(CCL2)は、Th2型に偏移した免疫応答を惹起することにも関与している。MIP-1γ(CCL9)は、マウスに特異的なケモカインであるがその機能はよくわかっていない。またTLRs(Toll様受容体)は、細菌の構成成分を認識する際に重要な役割を果たすことが知られている。本年度の研究においては、若齢マウスと老齢マウスにおけるMIP-1γ、MCP-1とTLR-4の発現レベルを比較して、免疫応答の違いを検討した。 方法 MIP-1γ、MCP-1、TLR-4、TLR-2の発現レベルを、若齢マウス(8週齢)と老齢マウス(64週齢)から取ったマクロファージとT細胞において、RT-PCR法とELISA法で解析した。 結果 若齢マウスから取ったマクロファージは、老齢マウスから取ったマクロファージに比べてより強くMIP-1γ、TLR-4、TLR-2を発現していた。反対に、老齢マウスから取ったマクロファージの方が若齢マウスのマクロファージよりも強くMCP-1を発現していた。若齢マウスから取ったT細胞も、同様に老齢マウスから取ったT細胞よりも強くMIP-1γ、TLR-4、TLR-2を発現していた。 考察および結論 これらの実験結果は、ある種のC-CケモカインがTLRsと連動して働き、免疫応答を調節する可能性を示している。また、その発現レベルは加齢とともに変化することから、C-CケモカインとTLRsの動きが生体防御機構の加齢による衰退の一要因となっている可能性も示された。
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[Publications] Suzuki H, Wu J, Hossain K, Ohhata T, Du J, Akhand AA, Hayakawa A, Kimura H, Hagiwara M, Nakashima I.: "Involvement of MKK6 in TCRalphabeta(int)CD691o : a target population for apoptotic cell death in thymocytes."FASEB Journal. 17. 1538-1540 (2003)
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[Publications] Zhou YW, Aritake S, Tri Endharti A, Wu J, Hayakawa A, Nakashima I, Suzuki H.: "Murine lymph node-derived stromal cells effectively support survival but induce no activation/proliferation of peripheral resting T cells in vitro."Immunology. 109. 496-503 (2003)