2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00251
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松原 洋一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG X. 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 先天性代謝異常 / ビオチン / プロピオン酸血症 / プロピオニルCoAカルボキシラーゼ |
Research Abstract |
研究代表者は、これまでにビタミンの一種であるビオチンの代謝異常症について研究を行なってきた。中でも、ビオチンを4種類のカルボキシラーゼに結合させるホロカルボキシラーゼ合成酵素の欠損症について分子遺伝学的な解析を行い、数多くの遺伝子変異の同定と機能解析を報告してきた。これら一連の研究過程において、ホロカルボキシラーゼ合成酵素やビオチニダーゼには異常を認めない症例を複数見出した。これらの患者から得られたリンパ芽球を用いた実験では、これまでに報告されていないビオチン輸送系の異常が示唆された。そこで、疾患候補遺伝子として、最近報告されたビオチン輸送蛋白関連遺伝子の検索を行ったが遺伝子変異を同定することはできなかった。 一方、ビオチンを補酵素とするプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の遺伝的欠損は、プロピオン酸血症をひきおこすことが知られている。本疾患は常染色体劣性遺伝性疾患で、体内に大量のプロピオニルCoA及びその代謝産物が蓄積する。PCCはミトコンドリア基質に局在し、二つ異なったサブユニットからなりα_6β_6構造をとる。プロピオン酸血症はα、βいずれかのサブユニットの障害により引き起こされる。これまで、病因変異の検索は欧米人患者を中心に進められてきたが、日本人患者を対象とした系統的な解析は行われてこなかった。そこで、日本各地の病院からプロピオン酸血症が疑われる症例20例を収集し、酵素診断と化学診断を行った。つぎに、患者及びその両親からインフォームドコンセントを得たうえで、遺伝子解析を開始した。既にα鎖およびβ鎖にこれまで報告されていないいくつかの新しい変異を見出した。次年度中に当研究を終了し、論文として発表する予定である。
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