2002 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ抗原感作ヘアレスマウスを用いた皮膚炎の誘導とアトピー性皮膚炎研究への応用
Project/Area Number |
02F00253
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古江 増隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 其潔 九州大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ダニ抗原 / Th2分化 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎はTh2に傾く免疫反応が起されると言われている。アトピー性皮膚炎の患者さんの血清中でIgE抗体が高値になることがしばしば見られます。そのうち、もっとも高頻度に検出できるのはダニ抗原に対する特異的なIgE抗体である。したがって、ダニ抗原はアトピー性皮膚炎の発症に関与している原因の一つと考えられる。そこで、今回私は平成14年4月1日より,「ダニ抗原感作ヘアレスマウスを用いた皮膚炎の誘導とアトピー性皮膚炎研究への応用」という研究課題に関する研究を開始した。 先ず、ダニ抗原によりTh2に傾く免疫反応を起すかどうかを調べた。予備実験としてヘアレスマウス、BALB/cマウス,C57B/6マウスにおいてダニ抗原による血中のIgE抗体が上昇するかどうかを調べた。具体的な方法は粗製或いは精製したDerf2ダニ抗原をAlum4 mg/mlと混ぜて二週間置きに腹腔内接種にて免疫し、免疫後2週目、4週目、6週目に血清中のIgE抗体値をELISA法で測定した。また脾臓リンパ球数をFACSにて調べた。結果は粗製或いは精製したダニ抗原で免疫したヘアレスマウス、BALB/cマウスにおいて対照群と比べいずれも血中のIgE抗体を検出できなかった。C57B/6マウスにおいて免疫後4週目から血清中トータルIgE抗体値が軽度の上昇が認められ、脾臓のリンパ球数の増加も見られたが、しかし、ダニ抗原によるTh2サイトカインIL-4の産生が認められなかった。このように一般的な方法でマウスのIgE抗体の上昇が誘導しにくいため、もっと良い方法が有るかどうかを検討した。最近、樹状細胞がTh1/Th2分化の誘導には深く関わられていると報告され、我々の実験では人の末梢血の単球から誘導してきた樹状細胞がプログランジンE2とTNFαの存在下で成熟させるとTh1分化に重要であるIL-12の産生が抑制され、Th2免疫反応を誘導できる結果が得られた。これをマウスの系に生かし、体外でマウスの樹状細胞を分離し、さらにダニ抗原とプログランジンE2とTNFαを添加した状態でT細胞と共培養し、Th2サイトカインのIL-4産生を誘導できるかどうかを検討する予定である。若しうまく行けば、この細胞を体内に戻し、実際Th2反応の誘導にどのように関与するのかを検討できる。
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Research Products
(1 results)