2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00255
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 磊 群馬大学, 生体調節研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 膵β細胞 / 再生 / 糖尿病 / ベータセルリン / アクチビン |
Research Abstract |
本研究では、これまで研究してきた膵β細胞の分化誘導因子ベータセルリン(BTC)およびアクチビンを用いて膵β細胞再生促進法を確立し、新しい糖尿病治療の方法を確立するための基礎的検討を行った。 我々はストレプトゾトシン(STZ)を投与したマウスを用い、これにBTCを投与することにより膵β細胞再生を促進させ、これによって糖尿病の症状を改善できるかどうかについて検討した。オス、ICRマウスの腹に200μg/g STZを投入し、その後、14日間にわたって、毎日様々な量のBTCを投与した。血糖値及び血漿インスリン値の変化を測定するとともに、2週間後に糖負荷試験をおこなった。コントロール群では随時血糖値が500mg/dl以上になるとともに体重も減った。これに対してBTC(0.2ug/g)投与群では血糖値はコントロール群に比べて有意に低く、BTC(0.1,0.2ug/g)投与群では体重も有意な増加が認められた。そして、BTC(0.1,0.2ug/g)投与群では血漿インスリン値とともに膵組織のインスリン含量も有意な増加が認められた。一方、糖負荷試験ではBTC投与群の血糖値はコントロール群より有意な差が得られなかった。次に、抗インスリン抗体を用いて免疫染色した結果から見ると、BTC投入した群では膵島にいるβ細胞の数およびインスリン陽性膵島の数がコントロール群に比べて有意な増加が認められた。さらに、BTCによるSTZマウスにおけるβ細胞数増加の機序を解析するために、BrdUの取り込みを検討した。STZを投入した2,3日後、100mg/kg BrdUの抗体をマウスに注射し、4時間後に膵組織をとって組織学的な検討を行った。その結果、BTCを投与することにより膵ラ氏島内のBrdU/somatostatin陽性細胞数とともにPDX-1/somatostatin陽性細胞数が増加することが認められた。そしてICCの数が増加するとともに膵導管に出現したBrdU陽性細胞数も増加した。これらの結果から、BTCがひどい糖尿病モデルであるSTZマウスにおける膵β細胞の新生およびβ細胞の新生およびδ細胞のtransdifferentiationを促進し、マウスの高血糖状態を改善した。現在、これらの結果をまとめてした論文を投稿中である。 一方、NIDDMのモデルである、生直後にSTZを投入したラットにおけるBTCやアクチビンを投入することにより膵β細胞の再生を促進させ、これによって糖尿病の発症を阻止できるかどうかについては今また検討しているところである。
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