2002 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬や神経栄養因子を用いた虚血性神経細胞死の阻止法の開発
Project/Area Number |
02F00258
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QI Sihua 新潟大学, 脳研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 / BDNF / 翻訳因子 / elongation factor / initiation factor / 神経細胞死 / ストレス |
Research Abstract |
脳虚血による細胞死の過程では小胞体ストレス応答がおこる。この過程では、異常な蛋白の産生と、また同時に起る補償作用としての全体的な蛋白合成の抑制が知られている。蛋白合成の制御は翻訳因子と呼ばれる一連の分子によって制御されていて、それらの活性は神経系においては神経栄養因子や神経伝達物質などによって調節されている。 そこで脳の障害時における翻訳因子の変化について、神経栄養因子の発現の変化と共に調べた。 脳障害モデルとしては、1)脳虚血 2)微細障害モデルとしてのfinbria-fornix切断 3)ストレスによる脳の機能障害 の3種類を想定し、実験を行った。 1)については既報の論文と同様の結果がえられた。 2)については中隔-海馬の神経連絡を切断することにより、海馬で翻訳伸展因子、elongation factor2(eEF2)のレベルとリン酸化の程度に変化が認められた。脳由来神経栄養因子BDNFの蛋白、mRNAのレベルを測定中である。 3)についてはストレス付加の条件検討を行い、ある種の条件で脳由来神経栄養因子BDNFの蛋白、mRNAのレベルが減少していることを見い出している。現在翻訳因子のレベルや全体的な蛋白合成能について検討中である。 現在までの結果は予備的なものではあるが、脳障害時に神経栄養因子の発現が低下し、翻訳因子の活性の低下がおこることを示唆している。神経栄養因子の発現を上昇させる薬や翻訳因子の活性化を引き起こす薬剤の開発することによって、細胞死阻止薬の開発につながる可能性が見えてきたといえる。
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Research Products
(1 results)