2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00261
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
坪田 一男 東京歯科大学, 歯学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MURAT Dogru 東京歯科大学, 歯学部, 外国人特別研究員
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Keywords | アトピー性角結膜炎 / 結膜杯細胞 / ムチン / Real Time PCR / immunohistochemistr |
Research Abstract |
我々はすでにアトピー性結膜炎に伴うドライアイにおいては、impression cytologyを用い、結膜杯細胞密度が低下する、杯細胞機能不全状態が原因であることを示す数々の報告を行ってきた。今回我々は杯細胞由来のMuc5ACの発現とアトピー性疾患の病態との関連を検討するため、アトピー性疾患を有しアレルギー性結膜炎(AKC)に角膜潰瘍を合併している7例7眼と、潰瘍のない13例33眼を比較した(男性14例、女性6例;平均年齢21.6歳)。これら症例に角膜知覚検査、シルマーテスト、涙液層破壊時間、生体染色、結膜のimpression cytology(IC),brush cytology(BC)を施行した。ICの標本にPAS染色とMuc5ACに対する免疫染色を行った。BCで得られた細胞にreal timePCRを行い、Muc5ACのmRNAの発現を調べた。 角膜潰瘍眼では非潰瘍眼に比較して角膜知覚が低下し、涙液に量的・質的異常を認めた。角膜潰瘍眼のBCでは炎症細胞数が有意に増加していた。ICでは角膜潰瘍眼で角化の亢進、杯細胞の減少を認め、PAS陽性のムチンが豊富に採取されたが、Muc5ACは陰性であった。角膜潰瘍眼でMuc5ACRNA発現が低下していた。 これらの結果から、アトピー性疾患例で角膜潰瘍の発症機序に炎症の存在、涙液の異常、Muc5ACの低下が関与していると示唆された。角膜潰瘍眼では結膜杯細胞由来のMuc5ACが減少し、他のムチンが分泌されている可能性を示していると思われた。さらにAKCの小児11例22眼と小児期発症の成人AKC5例10眼に上記の検査を施行した。成人AKC例では角膜知覚の高値、BUTの短縮、シルマーテストの低値、生体染色スコアー高値、BCでの炎症細胞数の高値、ICでは角化の亢進、杯細胞低値を認めた。小児期において、慢性に経過するAKCは亜急性に発症する。成人AKC群では、炎症とそれにともなう組織障害は強くなっており、疾患が遷延化した場合、より重症化する傾向があると考えられた。また、組織破壊は涙腺にも及んでいる可能性が示唆された。今後、同様な症例でRT-PCRにてMuc5ACだけでなく結膜上皮由来のMuc1、2,4の発現量を調べる予定である。
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